Arria 10 SoC FPGAは、インテル製のSoC FPGAです。Arria 10 SoC FPGAは、Cortex-A9ベースのHPSとFPGAを搭載しており、ミッドレンジ・アプリケーション向けの高性能かつ低消費電力なデバイスです。
インテルのFPGAポートフォリオ
インテルは、FPGAの幅広い製品ポートフォリオを提供しています。
FPGA(読み方:エフピージーエー)とは
FPGAとは、「現場で書き換え可能な論理回路の多数配列」を意味する「Field Programmable Gate Array」の略で、チップの種類の一つ。名前の通りFPGAは、ユーザーが現場(Field)でプログラムを書き換えられる。数万~100万ゲート規模の論理回路がプログラム可能なため、自由度が高いのが特徴。
インテルのFPGAポートフォリオは、以下の通りです。
- Agilex FPGA:演算負荷が高いアプリケーション向け
- Stratix シリーズ:高集積、高パフォーマンス
- Arria シリーズ:ミッドレンジ・アプリケーション向け
- Cyclone シリーズ:低消費電力、 低コストデザイン
- MAX シリーズ:低コストで小型
Arria 10 SoC FPGAは、ミッドレンジ・アプリケーション向けの「Arriaシリーズ」に属します。
Arria 10 SoC FPGAの仕様
機能 | 詳細 |
---|---|
プロセッサー | デュアルコア ARM Cortex-A9 MPCore プロセッサー (ARM CoreSight デバッグおよびトレース・テクノロジー搭載) |
コプロセッサー | 単精度および倍精度のベクトル浮動小数点ユニット (VFPU)、スヌープ制御ユニット (SCU) ごとの ARM NEON メディア処理エンジン、アクセラレーター・コヒーレンシー・ポート (ACP) |
レベル 1 キャッシュ | 32 KB L1 命令キャッシュ、32 KB L1 データキャッシュ |
レベル 2 キャッシュ | 512 KB 共有 L2 キャッシュ |
スクラッチパッド RAM | 256 KB |
HPS DDR メモリー | DDR4、DDR3 (ECC: 64bit まで) |
DMA コントローラー | 8 チャネル DMA |
イーサネット・メディア・アクセス・コントローラー (EMAC) | 3 個の DMA 内蔵 10 / 100 / 1000 EMAC |
USB On-The-Go (OTG) コントローラー | 2 個の DMA 内蔵 USB OTG |
UART コントローラー | 2 個の 16550 互換 UART |
シリアル・ペリフェラル・インターフェイス (SPI) コントローラー | 4 個の SPI |
I2C コントローラー | 5 個の I2C |
QSPI フラッシュ・コントローラー | 1 個の SIO、DIO、QIO SPI フラッシュをサポート |
SD / SDIO / MMC コントローラー | 1 個の DMA および CE-ATA サポート eMMC 4.5 |
NAND フラッシュ・コントローラー | 1 個の ONFI 1.0 以降、8/16 ビット・サポート |
汎用 I/O (GPIO) | 最大 62 個のソフトウェア・プログラマブル GPIO |
タイマー | 7 個の汎用タイマー、4 個のウォッチドッグ・タイマー |
セキュリティー | セキュアブート、Advanced Encryption Standard (AES) および Elliptic Curve Digital Signature Algorithm (ECDSA) |
出典:インテル® Arria® 10 SoC FPGA の機能
Arria 10 SoC FPGAとは
20nm Arm* ベースのインテル® Arria® 10 SoC は、ミッドレンジ・アプリケーションに最適な性能、電力効率、スモール・フォーム・ファクター、および低システムコストを実現します。TSMC の 20 nm プロセス・テクノロジーをベースにしたインテル® Arria® 10 SoC は、デュアルコア Arm* Cortex*-A9 MPCore* ハード・プロセッサー・システム (HPS) と、ハード化浮動小数点デジタル信号処理 (DSP) ブロックなどの業界をリードするプログラマブル・ロジック・テクノロジーを兼ね備えています。インテル® Arria® 10 SoC は、エンベデッド・ペリフェラル、可変精度デジタル信号処理 (DSP) ブロック、内蔵の高速トランシーバー、ハード・メモリー・コントローラー、プロトコル IP コントローラーなどの豊富な機能セットとプロセッサーを、高度に統合した 1 つのパッケージとして提供されます。
Arria 10 SoC FPGAのデータシートは、以下です。
Arria 10 SoC FPGAはインテル製のSoC FPGA
Arria 10 SoC FPGAは、インテル製のSoC FPGAです。
SoCとFPGAをワンチップに統合した製品。CPUやペリフェラル(周辺機器)などで構成されるSoCと、プログラム可能なFPGAを統合している。
SoCやFPGAについては、以下の記事をご覧ください。
Arria 10 SoC FPGAは、Arm Cortex-A9ベースのHPS(ハード・プロセッサ・システム)およびプログラマブル・ロジック・テクノロジーを搭載しています。
ARM Cortex-A9とペリフェラルが一体となったハード・マクロ
Arria 10 SoC FPGAには、Cortex-A9ベースのHPSのほか、DSPブロック、FPGAロジック、高速トランシーバー、ハード・メモリー・コントローラーなどが、カスタマイズ可能なワンチップ上に搭載されています。
DSPとは、積和演算の高速な処理に特化したプロセッサのことです。主にオーディオや画像の信号処理や、モータの制御、計測、遠隔通信などの処理において使用されています。
このため、性能を高めながら、ボードサイズの削減を可能にしています。
Arria 10 SoC FPGAはミッドレンジ・アプリケーション向け
Arria 10 SoC FPGAは、高性能と低消費電力が必要な、ミッドレンジ・アプリケーション向けのSoC FPGAです。
Arria 10 SoC FPGAは、20nmプロセス技術をベースとしており、前世代のミッドレンジFPGAの性能を60%上回っています。
一方、MultiTrack 配線とコア・アーキテクチャーの消費電力を最適化しており、前世代のミッドレンジFPGAと比較して、消費電力を最大で40%抑えています。
このため、Arria 10 SoC FPGAは、以下のアプリケーションに理想的なデバイスです。
- ワイヤレスアプリケーション
- クラウドサービスおよびストレージ
- 放送機器
Arria V SoC FPGAとArria 10 SoC FPGAの互換性
同じArriaシリーズのSoC FPGAに、Arria V SoC FPGAがあります。Arria 10 SoC FPGAは、Arria V SoC FPGAの後継品です。Arria V SoC FPGAが28nmであるのに対し、Arria 10 SoC FPGAは20nmと小型化されています。
Arria V SoC FPGAとArria 10 SoC FPGAは、同じCortex-A9を搭載しています。このため、Arria V SoC FPGAからArria 10 SoC FPGAへ、容易にソフトウェアを移行できます。
Arria V SoC FPGAの詳細は、以下の記事をご覧ください。
Arria 10 SoC FPGAの入手方法
Arria 10 SoC FPGAは、以下のインテルの販売代理店やオンラインショップで購入できます。
Arria 10 SoC FPGAの開発環境
Arria 10 SoC FPGAに対応した代表的な開発環境は、以下のとおりです。
- インテル® Quartus® Prime 開発ソフトウェア
- インテル® SoC FPGA エンベデッド開発スイート
- インテル® FPGA SDK for OpenCL™2
Arria 10 SoC FPGAの評価ボード
ボード | 特徴 | 対象 | データシート |
---|---|---|---|
Arria 10 SoC FPGA 開発キット | インテル Arria 10 SoC デバイスの機能と性能の評価、ハードウェアとソフトウェアのデザイン開発、ターゲット・リファレンス・デザイン、OS/BSP、およびツール用のプラットフォーム | 様々な機能を素早く評価したい方 | Arria 10 SoC FPGA 開発キットのデータシート |
Arria 10 SoC FPGA 開発キット
Arria 10 SoC FPGA 開発キットは、インテル Arria 10 SoC デバイスの機能と性能の評価、ハードウェアとソフトウェアのデザイン開発、ターゲット・リファレンス・デザイン、OS/BSP、およびツール用のプラットフォームなど、様々な機能をサポートしています。
また、Quartus Prime 開発ソフトウェアの1年間有効なライセンスが付属しています。このため、FPGA デザインの開発 / デバッグも可能です。
これらの特徴から、「Arria 10 SoC FPGAの様々な機能を素早く評価したい」という方に最適の評価ボードです。
Arria 10 SoC FPGA 開発キットの価格と購入方法
Arria 10 SoC FPGAの対応OS
Arria 10 SoC FPGAに対応している主なOSは、以下の通りです。
- Abassi
- Carrier Grade Edition 7 (CGE7)
- ThreadX
- µC/OS-II
- µC/OS-III
- VxWorks
- Wind River Linux
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。
μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。
ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。
- 32/64bitの高性能プロセッサに最適化
- 割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
- 豊富なプロセッサ・サポート
- 業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
- マルチコア対応
- 組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
- 豊富なデバイスドライバを用意
- I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)
詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。
マルチコアAMP拡張版RTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M」
μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのリアルタイムOSです。
μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。
ARM Cortex-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。
- リアルタイム処理に最適なAMP型カーネル
- 自由にタスクや資源を各CPUに割り当てることで、システムの負荷分散が容易に実現できます。
- μITRON APIによるCPU間通信機能
- タスク間通信などの機能をCPU間通信でも実現ができ、シングルコアと同様にプログラミングができます。
- 一括リンクによるコード効率の向上
- コア別のプログラムを一括リンクすることで、より効率の良いプラグラミングができます。
- 多彩なミドルウェアや豊富なデバイスドライバを用意
- μC3/Standard対応のミドルウェアやデバイスドライバを利用できます。
詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。
Arria 10 SoC FPGAとμC3/Standardの導入事例
- 電子計測器メーカー製 無線機器用測定器
Arria 10 SoC FPGAとμC3/Standard+Mの導入事例
- 電機メーカー製 メディアサーバ
- 写真映像機器メーカー製 細胞分析装置
- 光学機器メーカー製 顕微鏡
- 放送局向け機器メーカー製 放送機器
- 電子部品メーカー製 プロ向けオーディオ機器