Bluetoothのイラスト

無線通信技術はIoTやビジネス、医療などの業界において高い注目を集めています。その中でもBluetooth®はファイルを送ったり、データのやり取りができたりと非常に便利な無線通信規格です。

本記事ではBluetooth®とBLEの概要や違い、特長について解説します。

Bluetooth®とは

医療技術と通信ネットワーク

Bluetooth®とは、PCやスマートフォン、キーボードなどの機器を無線でつなげる通信規格です。最初にペアリング設定するだけで自動的に機器同士を接続することが可能です。

Bluetoothの使用周波数は2.4GHz帯となっており、スループットは最大3Mbpsです。現在の最新バージョンは5.3です。(※2022年4月27日時点)

Bluetooth規格はBluetooth ClassicとBluetooth Low Energy(BLE)に分けられています。Bluetooth Classicは規格上最大100m、BLEは1km以上の通信が可能です。

Bluetoothの仕組みは、極超短波である2.4GHz帯域を使い、近距離のデジタルデバイス同士をワイヤレスでつなぐものです。デバイスには受信機とソフトウェアを含むチップが内蔵され、それぞれが協調することで、周囲間での(デバイス同士の)接続を可能にします。無線操作には、このほかにテレビとリモコンをつなぐ赤外線通信などがありますが、赤外線通信は障害物に弱く、リモコンをテレビの側に向けて光を当てなければなりません。一方Bluetoothは障害物があっても通信可能です。つまり、デバイス同士を向き合わせなくても反応してくれます。

出典:SUNGROVE「Bluetoothとは?使い方、仕組み、活用例など紹介」

【特長1】近距離無線通信で活用しやすい

Bluetoothは、
・PC
・スマートフォン
・キーボード
・マウス
・ヘッドフォン
など、様々なタイプの機器をワイヤレスの技術によって接続できます。

容量の多いデータを遠い場所に送るのではなく、近距離でデータのやり取りを行うのに向いています。また、国際標準規格のため海外メーカーの機器同士の接続も可能です。

【特長2】一対多の接続ができる

Bluetoothは一対多の接続が可能です。

Bluetooth Classicは一台のセントラル機器に対して7台までのペリフェラル機器の接続が可能です。

BLEの場合、1台のセントラルに対して接続できるペリフェラルの数に上限はありませんが、実際に接続できる台数は製品ごとに異なります。また、多対多できるメッシュ接続が可能です。メッシュ接続はバージョン5.0で追加された仕組みです。

※イー・フォースの「μC3/BLE Stack」は、Bluetooth Low Energy 4.2をサポートしているホスト層プロトコルスタックです。そのため、メッシュ接続はサポートしておりません。

【特長3】ペアリング

基本的に一度ペアリングしたデバイス同士は、次回電源をONにした時に、自動で接続が行われます。また、ペアリングの過程において、接続を暗号化するためセキュアな通信が可能となります。

BLEとは

IoT通信イメージ

BLEは、Bluetooth 4.0で新規に追加された通信規格です。従来のBluetooth規格(一般的に、Bluetooth Classicと呼ばれています)とは互換性はありません。また異なる特長がいくつかあります。

【特長1】省電力に優れている

BLEは省電力に特化した通信規格です。Bluetooth Classicと比較して省電力で動作します。

BLEはBluetoothのバージョンアップに伴い、対応可能な転送速度のバリエーションが増えています。

【特長2】安価に利用できる

最後に、低価格で利用できるのもBLEの特長です。BLEはBluetoothに比べて低消費電力で運用するアプリケーション向けに仕様が作られました。

そのため、同じような機能を持つ製品にBluetoothとBLEを採用した場合には、BLEの方がより低性能な電源能力で運用可能なため低コストで利用できると言われています。

【特長3】ビーコン向きである

ビーコンは、不特定多数に向けて情報を発信する仕組みのことです。特定のデバイスが一定間隔で情報を送信しており、受信機が一定の距離まで近づくとその情報を受信できるという仕組みです。

BLEは、省電力かつ非接続の通信も可能であるため、ビーコンシステムが容易に実現できます。BLEデバイス同士を非接続で運用する場合、送信側がブロードキャスター、受信側がオブザーバーと呼ばれます。

BLEのセキュリティ対策

BLEは、近距離で通信可能なワイヤレス技術を持っている一方で、セキュリティや通信距離に関する課題もあります。

BLEはペアリングの際にデバイス間で鍵を交換し、その鍵を用いて通信の暗号化を行います。

鍵交換方式においては、
・レガシーペアリング
・セキュアコネクション
という2つの方式があります。

レガシーペアリングは、ブルートフォース攻撃に対する脆弱性があることが分かっているため、基本的にはセキュアコネクションを使用するのが良いでしょう。

セキュアコネクションでは、デバイスの入出力能力に応じて、以下の4つの認証方法からいずれかが選択されます。

①Just Works:ユーザによる認証無し。
②Numeric Comparision:両方のデバイスに6桁のPINが表示され、ユーザが同値であることを確認する。
③Passkey Entry:ユーザが、指定された6桁のPINを入力する。
④OOB:BLE以外の通信経路で認証を行う。

Just Worksはユーザによる認証が無いため、悪意のあるデバイスが容易にペアリングできてしまいます。また、OOBはあまり一般的ではないため、Numeric ComprisionやPasskey Entryを使用することが推奨されます。

過去にBlueBorneやKNOB攻撃を受ける可能性といった脆弱性が報告されています。今後もBluetoothアーキテクチャの脆弱性が報告される可能性があるため、アプリケーション層のデータ通信暗号化を行うなどの対策が有効的です。

まとめ

本記事ではBluetooth®とBLEの概要や違い、特長について解説しました。
Bluetoothは国際標準の近距離無線通信規格となっており、PCやスマートフォン、ヘッドフォンなど汎用性の高い技術です。

また、BluetoothはBluetooth ClassicとBluetooth Low Energy(BLE)の規格に分かれており、BLEは省電力に特化した規格です。

イー・フォースでは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON仕様のRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」およびBLEホスト層プロトコルスタック「μC3/BLE Stack」を提供しています。

以下の記事ではμC3/CompactとBLEを使用して、I2Cセンサのデータをモバイルアプリに転送する方法についてご紹介していますので、ぜひご覧ください。

「μC3/Compact」と「μC3/BLE Stack」でI2Cセンサのデータをモバイルアプリに転送