AM64xとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

AM64xの概要

AM64xはテキサス・インスツルメンツ社のプロセッサです。最大800MHzで動作する Arm®Cortex®-R5F、PRU-ICSSを搭載し、PLCを初めとする産業用アプリケーションに特化しています。

AM64xシリーズの仕様

項目 AM6411 AM6412 AM6421 AM6441 AM6442
ArmCPU  Arm®Cortex®-A53 2 x Arm®Cortex®-A53 Arm®Cortex®-A53  Arm®Cortex®-A53 2x Arm®Cortex®-A53
最大動作周波数(MHz) 800,1000 800,1000 800,1000 800,1000 800,1000
コアプロセッサ 1ArmCortex-R5F,PRU-ICSS 1ArmCortex-R5F,PRU-ICSS 2ArmCortex-R5F,PRU-ICSS 4ArmCortex-R5F,PRU-ICSS 4ArmCortex-R5F,PRU-ICSS
CPU 64-bit 64bit 64bit 64bit 64bit
プロトコル EtherCAT,Ethernet,EtherNet/IP,Profinet,Sercos,Profibus EtherCAT,Ethernet,EtherNet/IP,Profinet,Sercos,Profibus EtherCAT,EtherNet/IP,Profinet EtherCAT,EtherNet/IP,Profinet EtherCAT,EtherNet/IP,Profinet
イーサネットMAC 2-Port10/100/1000 2-Port10/100/1000 5-Port10/100/1000 5-Port10/100/1000 5-Port10/100/1000
PCIe 1PCIeGen2 1PCIeGen2 1PCIeGen2 1PCIeGen2 1PCIeGen2
OS Linux,RTOS Linux,RTOS Linux,RTOS Linux,RTOS Linux,RTOS
セキュリティ 暗号化、デバッグ、セキュアブート、TEE 暗号化、デバッグ、セキュアブート、TEE 暗号化、デバッグ、セキュアブート、TEE 暗号化、デバッグ、セキュアブート、TEE 暗号化、デバッグ、セキュアブート、TEE
動作温度の範囲(℃) -40to105 -40to105 -40to105 -40to105 -40to105

出展:AM64x

AM64xシリーズとは

AM64xシリーズの製品ラインアップ

AM64xはTEXAS INSTRUMENTS製の64ビットArm®プロセッサで、Arm®Cortex®-R5FとPRU-ICSSを搭載しています。

AM64xは、高速データ転送のために、マイコン内部機器の低レイテンシ・パスを使用して、高いリアルタイム性能を保持しています。

AM64xシリーズとは?

AM64xは、Sitaraの産業用グレード・ファミリが拡張されたヘテロジニアスArm®プロセッサです。AM64xは、リアルタイムの処理とアプリケーション処理を伴う通信との独自な組み合わせが求められる、モーター・ドライブやプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)のような産業用アプリケーション向けに構築されています。AM64xは、SitaraのギガビットTSN対応PRU-ICSSのインスタンスを2つ搭載しており、さらに最大2つの Arm®Cortex®-A53コア、最大4つのCortex®-R5FMCU、および1つのCortex®-M4FMCUを搭載しています。

出典:AM64x

AM64xは、ペリフェラル専用の低レイテンシ・パスを使い、応答性に優れた設計になっています。

ペリフェラルとは

ペリフェラルとは、マイコンに内蔵されている装置の総称。タイマーやI/Oポート、シリアル通信などが該当します。

AM64xはコアとして以下を搭載しています。

  • Cortex®-A53
  • Cortex®-R5F
  • Cortex®-M4F

AM64xは、メインのコアとしてCortex®-A53を搭載しているほか、PRU-ICSSGで構成された、ハードウェア・アクセラレータを搭載しています。

ハードウェア・アクセラレータとは

ハードウェア・アクセラレータとは、ハードウェア実装において処理速度を加速させる技術のことです。CPU上で動作するソフトウェアで処理すると遅延が大きくなる、電力を消耗するなどのトラブルに対応するために使われています。

AM64xシリーズの特徴

【特長1】Cortex®-A53搭載のマイクロプロセッサシステム

AM64xは、最高800MHzで動作するCortex®-A53のマイクロプロセッサを搭載しています。

マイクロプロセッサとは?

マイクロプロセッサとは、コンピューターの計算や制御を1つの半導体チップに集約したもので、主にCPU上で使用されます。

【特長2】Linuxとの連携に優れている

AM64xは、LInuxアプリとの連携を得意としている点も魅力の一つです。

メモリ分割により、Linuxアプリとリアルタイム・ストリーム間を分けてリアルタイム性能を上げています。また、SRAMは、さまざまなサイズに分けて、Cortex®-R5Fの一括利用や個別利用も可能です。

SRAMとは?

SRAMとは読み書き可能なメモリのこと。DRAMに比べて速くデータを修正できる点がメリットです。

【特長3】産業用の柔軟な通信が可能

AM64xは産業用に柔軟な通信機能を提供していることも大きなメリットです。

コアプロセッサのPRU_ICSSGは、ギガビットおよびTSNベースのプロトコル機能があり、使用時には以下のインターフェースをSoCに加えられます。

  • シグマ・デルタ・デシメーション・フィルタ
  • アブソリュート・エンコーダ・インターフェイス
SoCとは

SoCとは、一つの半導体チップに大半(もしくは全て)の機能を搭載する設計方法で、機器を小型化するために用いられています。

AM64xシリーズの入手方法

AM64xシリーズは、TEXAS INSTRUMENTSホームページや下記の販売特約店から購入できます。

特約店・取扱店
  • Digi-KeyElectronics
  • MouserElectronics
  • 東京エレクトロンデバイス株式会社
  • Macnica(マクニカ)、日本向け専用
  • SpiritElectronics
  • RochesterElectronics
  • Micross

AM64xシリーズの評価ボード

AM64xシリーズの評価ボードは、以下の通りです。

特長 対象
AM64xスタータ・キット 有線/無線・接続性、3個の拡張ヘッダ、複数のブート・オプションで柔軟なデバッ機能を搭載 商用と産業用の両面で開発した人向け
SolidRun イノベーティブかつコンパクトな設計。SOM、SBC、産業用の小型パソコンなど、多種多様ななプラットフォームあり 開発期間を短縮したい人向け
AM64xIO-Linkと高速ブレイクアウト・カード 障害保護機能つきのM12IO-Linkポートを8個搭載。汎用信号ブレークアウトを採用。 汎用的で拡張性があるIO-Linkマスタを構築したい人向け
AM64xEVM 各種アプリごとにAM64xの機能を評価してプロトタイプの開発が可能。また、イーサネット・ポートは、1Gbpsもしくは100Mbpsの速度に対応 スタンダードな開発ツールを使いエミュレーションとデバッグをしたい人向け

AM64xスタータ・キット

AM64xスタータ・キットは素早くプロトタイプを開発するための自律型テスト・開発プラットフォームです。

開発者は、イーサネットやUSB、シリアルの各インターフェイスと、2.4GHz/5GHzの通信機能を使ったシステム開発が可能。

用途が広いため、産業と商用の両方でプロトタイプを作りたい人に適しています。

SolidRun

SolidRunは、エネルギー効率が高く、強力で柔軟な点が魅力。

革新的かつ小型の各種組込みシステムを設計しており、多様なプラットフォームを提供しています。

そのため「開発期間を短くしたい」「コスト削減が第一目標」という人におすすめです。

AM64xIO-Linkと高速ブレイクアウト・カード

AM64xIO-Linkはアドオンモジュールの一つで、評価ボードだけでなくHSEIO-link拡張ボードも梱包

高速拡張コネクタに接続されているすべてのIO信号にテスト・アクセスすることができるため、汎用的で拡張性のあるIO-Linkマスタを開発するうえで便利です。

AM64xEVM

AM64xEVMはTEXAS INSTRUMENTS純正の評価ボードです。

評価ボードだけでなく、マイクロSDカードとUSBケーブル、イーサネットケーブル、クイックスタートガイドも梱包。

AM64xEVMはオンボードの電力測定が可能なため、エネルギーコストにシビアな企業におすすめです。

AM64xシリーズの対応OS

AM64xシリーズに対応している主なOSは、以下の通りです。

  • Linux
  • RTOS
  • μC3/Compact(弊社製品)
  • μC3/Standard(弊社製品)
  • μC3/Standard+M(弊社製品)
  • μC3+Linux(弊社製品)
  • μNet3(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

大きな特徴は、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

  Arm®Cortex®-Aシリーズ Arm®Cortex®-Rシリーズだけでなく、高性能な Arm®Cortex®-MやRenesasRXシリーズにも対応しています。

μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのRTOSです。

μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。

 Arm®Cortex®-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。