i.MX7ULPとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

i.MX7ULPは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)のプロセッサです。Cortex-A7およびCortex-M4を搭載しています。i.MX7ULPは、IoT機器に求められる高性能と低消費電力のどちらも兼ね備えたプロセッサです。

i.MX 7ULPの仕様

MCIMX7U3DVK07SC MCIMX7U5DVK07SC MCIMX7U5DVP07SC
Marketing Description i.MX 7ULP: Cortex-A7 and Cortex-M4, ultra low-power i.MX 7ULP: Cortex-A7 and Cortex-M4, ultra low-power i.MX 7ULP: Cortex-A7 and Cortex-M4, ultra low-power, 2D/3D graphics
Core Type Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7
Operating Frequency [Max] (MHz) 720 720 720
L2 Cache (Max) (KB) 256 256 256
SRAM (kB) 256 256 256
Co Processor Type Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F
Co Processor Frequency (MAX) (MHz) 200 200 200
External Memory Supported FlexBus, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, QSPI FlexBus, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, QSPI FlexBus, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, QSPI
GPU 2D / GPU 3D 1x shader, Vivante GC321, Vivante GCNanoUltra 1x shader, Vivante GC320, Vivante GCNanoUltra
Video/Display features MIPI-DSI, VIU MIPI-DSI, VIU MIPI-DSI, VIU
USB Controllers 2 2 2
Serial Communication 4 x SPI, 8 x UART 4 x SPI, 8 x UART 4 x SPI, 8 x UART
Audio Specific Modules SAI SAI SAI
Package Type VFBGA361 VFBGA361 LFBGA393
Package Termination Count 361 361 393
Package Pitch (mm) 0.5 0.5 0.5
Junction Temperature (Min) (℃) 0 0 0
Junction Temperature (Max) (℃) 95 95 95

出典:i.MX 7ULP Family

i.MX7ULPとは

i.MXシリーズとは

i.MXシリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの特徴は、ARMコアを搭載し、低消費電力であることです。

i.MXシリーズのラインアップ

i.MXシリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX RTシリーズ:産業用IoTアプリケーション向け
  • i.MX 6シリーズ :自動車、産業用アプリケーション向け
  • i.MX 7シリーズ :ポータブルIoTアプリケーション向け
  • i.MX 8シリーズ :グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向け
  • i.MX28     :自動車、産業用アプリケーションの電源管理および接続機能向け

i.MX7ULPは、ポータブルIoTアプリケーション向けの「i.MX 7シリーズ 」に属します。

i.MX 7シリーズとは

i.MX 7シリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの中でも、Cortex-A7およびCortex-M4を搭載し、ポータブルIoTアプリケーション向けに特化しています。

i.MX 7シリーズは、デュアルコアアーキテクチャです。このため、高度なリアルタイム性能を実現しています。

デュアルコアとは

デュアルコアとは、マルチコアの種類の一つ。コアを2つ搭載したマルチコアのこと。

マルチコアとは

マルチコアとは、1つのCPUの中に複数のCPUコアを内蔵する技術のこと。マルチコアのプロセッサは、複数の処理を並列しておこなうことで、シングルコアに比べ高い処理能力を実現している。

i.MX 7シリーズのラインアップ

i.MX 7シリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX 7ULP:超低消費電力
  • i.MX 7Solo:ヘテロジニアスプロセッシング
  • i.MX 7Dual:ハイパフォーマンス

この記事では、超低消費電力な「i.MX 7ULP」を紹介します。

i.MX 7ULPとは

i.MX 7ULPファミリは長寿命バッテリが要求されるユースケースに対して、
超低消費電力処理におけるNXPの最新の成果を象徴するプロセッサです。

成長市場であるポータブルデバイスをターゲットにしたi.MX 7ULPファミリは
3Dや2Dグラフィックプロセッシングユニット(GPU)と同様に、
Arm®Cortex®-A7コアやArm Cortex-M4コアのNXPの高度な実装を特長としています。

i.MX 7ULPファミリは、WLAN、Bluetooth®、GPS、ディスプレイ、カメラセンサーなどの
周辺機器を接続する為に最大32ビットのLPDDR2/LPDDR3メモリI/Fやその他多くのI/Fを提供します。

原文は、以下の通りです。

The i.MX 7ULP family of processors represents NXP’s latest achievement in Ultra-Low-Power processing for use cases demanding long battery life. Targeted toward the growing market of portable devices, the i.MX 7ULP family of processors features NXP’s advanced implementation of the Arm® Cortex®-A7 core, the Arm Cortex-M4 core, as well as a 3D and 2D Graphics Processing Units (GPUs). The i.MX 7ULP family provides up to 32-bit LPDDR2/LPDDR3 memory interface and a number of other interfaces for connecting peripherals, such as WLAN, Bluetooth®, GPS, displays, and camera sensors.

出典:i.MX 7ULP Family

i.MX 7ULPは、Cortex-A7およびCortex-M4を搭載したマルチコアプロセッサです。マルチコアの中でも、異種のコアを搭載した、ヘテロジニアスマルチコアプロセッサです。

i.MX 7ULPのコアは、それぞれ以下の役割を果たしています。

  • Cortex-A7:アプリケーション処理用
  • Cortex-M4:リアルタイム処理用

上記のように、コアごとに処理を分割することで、アプリケーションに応じた最適な消費電力と性能のバランスを実現しています。

このため、複雑な演算をサーバー側ではなく、IoT機器側でリアルタイムに処理することが可能です。

このほか、3Dおよび2Dグラフィックスプロセッシングユニット、豊富なペリフェラル(周辺機器)、セキュリティ機能などを搭載しています。

上記の特徴からi.MX 7ULPは、IoT機器に求められる高性能と低消費電力のどちらも兼ね備えたプロセッサです。

i.MX 7ULPの使い方(アプリケーション)

また、i.MX 7ULPは、以下のアプリケーションに適しています。

  • スマートホーム
  • ウェアラブル
  • 携帯用ヘルスケア/患者モニタリング
  • ポータブルプリンタとスキャナ
  • ゲームアクセサリ
  • ビルオートメーション
  • 一般組み込み制御
  • IoTエッジソリューション
  • SoMボードソリューション

i.MX 7ULPのデータシートは、以下をご覧ください。

i.MX 7ULPのデータシート

i.MX 7ULPの入手方法

i.MX 7ULPは、NXP社の正規販売店や以下のオンラインショップなどで購入できます。

i.MX 7ULPの開発環境

i.MX 7ULPに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • Arm Keil MDK
  • IAR Embedded Workbench for ARM
  • GreenHills MULTI IDE

i.MX 7ULP評価ボード

i.MX 7ULPの評価ボードは、以下の通りです。

搭載マイコン 特徴 対象 データシート
Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processor i.MX 7ULP フルSD / MMC 3.0カードソケット、オーディオコーデック、複数のセンサー、HDMIコネクタ、代替MIPIディスプレイコネクタなどの追加機能 すぐに開発をスタートしたい方

Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processor

Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processorは、NXP社純正の評価ボードです。Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processorは、SoMボードとして設計されています。

SoM(読み方:エスオーエム)とは

SOMとは、システム・オン・モジュールの略。SOMとは、CPUやメモリなどが一体になったボードを指す。

Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processorは、フルSD / MMC 3.0カードソケット、オーディオコーデック、複数のセンサー、HDMIコネクタ、代替MIPIディスプレイコネクタなどの追加機能を搭載しています。

Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processorは、HDMI出力を使用してすぐに起動できるので、「すぐに開発をスタートしたい」という方に最適の評価ボードです。

Evaluation Kit for the i.MX 7ULP Applications Processorの価格・購入場所

i.MX 7ULPの対応OS

i.MX 7ULPに対応している主なOSは、以下の通りです。

  • FreeRTOS
  • Arm KEIL RTX5
  • embOS
  • MQX
  • INTEGRITY
  • Linux
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M(同上)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

32/64bitの高性能プロセッサに最適化
割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
豊富なプロセッサ・サポート
業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
マルチコア対応
組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
豊富なデバイスドライバを用意
I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

マルチコアAMP拡張版RTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M」

μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのリアルタイムOSです。

μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。

ARM Cortex-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。

リアルタイム処理に最適なAMP型カーネル
自由にタスクや資源を各CPUに割り当てることで、システムの負荷分散が容易に実現できます。
  
μITRON APIによるCPU間通信機能
タスク間通信などの機能をCPU間通信でも実現ができ、シングルコアと同様にプログラミングができます。
  
一括リンクによるコード効率の向上
コア別のプログラムを一括リンクすることで、より効率の良いプラグラミングができます。
  
多彩なミドルウェアや豊富なデバイスドライバを用意
μC3/Standard対応のミドルウェアやデバイスドライバを利用できます。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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i.MX7ULPとμC3/Standard+Mの導入事例

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