暗号化とは、データを第三者が解読できないように一定のルールのもとに変換することです。暗号化によって、権限の無い照会や使用からデータを保護します。
暗号化=クラッキング(ハッキング)から保護する技術の1つ
暗号化とは、データを第三者が解読できないように一定のルールのもとに変換することです。暗号化によって、権限の無い照会や使用からデータを保護します。
コンピュータや組込み機器である家電などは、元々単独で使われていました。それらは、インターネットの普及に伴い、ネットワークに接続されて使用される機会が増えてきました。
組込み機器をインターネットなどのネットワークに接続する場合、クラッキングなどによって通信データが盗み見られたり改竄されるリスクがあります。
クラッキングとは
クラッキングとは、コンピュータシステムに侵入したり、改竄・破壊するなど、不正に利用すること。また、ソフトウェアの改竄もクラッキングに含まれる。
一般的には「ハッキング」と理解されているが、ハッキングとは、コンピュータに関する高度な技術を持った者がハードウェア・ソフトウェアに関して行うエンジニアリング全般を指す。
このため、暗号化は、組込み機器には欠かせない技術です。
ポイント
- 暗号化とは、データを第三者が解読できないように一定のルールのもとに変換すること
- 暗号化は、組込み機器には欠かせない技術
復号=暗号化を元に戻すこと
復号とは、暗号化されたデータを平文に戻すことです。復号には、このあと説明する「鍵」が必要です。鍵を用いずに復元することは、復号ではなく「解読」と言います。
暗号文・平文とは
- 暗号文(暗号):暗号化によって生成されたデータ
- 平文:暗号化されていないデータ
暗号化や復号には鍵が必要
暗号化や復号には鍵が必要になります。鍵を使って暗号化や復号をすることで、鍵を知らない第三者は解読できなくなります。
鍵の具体例として、下記が挙げられます。
- 合言葉
- パスワード
- 暗号表
- PINコード
- 指紋
暗号化・復号の具体例「シーザー暗号」
シーザー暗号は、シンプルで広く知られた古典暗号の1つです。シフト暗号とも呼ばれています。古代ローマで活躍したガイウス・ユリウス・カエサル(シーザー)が使用したことから、この名称がつきました。
シーザー暗号の仕組み
シーザー暗号は、平文の文字列をn文字分シフトして暗号文を作ります。「2つずらす」と決めた場合、平文の「a」→ 暗号文の「c」、「b」→「d」、「c」→「e」…のように暗号化されます。
実際のシーザー暗号の具体例を示します。
例えば平文が「KUMIKOMI」という文字列だった場合は、暗号文は「MWOKMQOK」となります。「2つずらす」ことを知っていれば、暗号文の「MWOKMQOK」を平文の「KUMIKOMI」に戻すことができます。
この具体例の場合、暗号文・平文・鍵は下記の通りです。
暗号文:「MWOKMQOK」
平文 :「KUMIKOMI」
鍵 :文字をずらす数値のこと。ここでは2という数字
シーザー暗号は容易に解読されるため、現代のセキュリティでは使用されていません。しかし、暗号化・復号のルールを事前に設定し、二者間で共有するという根本の仕組みは現在でも用いられています。
ポイント
- シーザー暗号は、シンプルで広く知られた古典暗号の1つ
- 暗号化・復号のルールを事前に設定し、二者間で共有するという根本の仕組みは現在でも用いられている
暗号化の種類
暗号化の種類は、鍵の扱い方によって「公開鍵暗号方式」と「共通鍵暗号方式」に分類されます。
共通鍵暗号方式=共通の鍵を使用する暗号方式
共通鍵暗号方式は、暗号化も復号も共通の鍵を使用する方式です。このため、鍵は送信側と受信側のみが知るものにします。
先ほど紹介したシーザー暗号は、この共通鍵暗号方式にあたります。
公開鍵暗号方式=別々の鍵を使用する暗号方式
公開鍵暗号方式は、暗号化と復号に別々の鍵を使用する方式です。公開鍵暗号方式では、暗号化用に公開鍵(パブリック鍵)、復号用には秘密鍵(プライベート鍵)という2種類の鍵を使用します。受信側は公開鍵を公開しますが、秘密鍵は公開しません。このため、第三者が解読することなく暗号化できます。
ポイント
- 共通鍵暗号方式=共通の鍵を使用する暗号方式
- 公開鍵暗号方式=別々の鍵を使用する暗号方式
暗号化アルゴリズムとは
暗号化アルゴリズムとは、暗号化の手順・ルールのことです。
暗号化アルゴリズムの種類・一覧
主な暗号化アルゴリズムには次の5種類があります。
- DES(読み方:デス、ディーイーエス、共通鍵暗号方式)
- トリプルDES(読み方:トリプルデス、トリプルディーイーエス、共通鍵暗号方式)
- AES(読み方:エーイーエス、共通鍵暗号方式)
- RSA(読み方:アールエスエー、公開鍵暗号方式)
- ECC(読み方:イーシーシー、公開鍵暗号方式)
詳しい説明については、下記の記事をご覧ください。