i.MX 7Dualとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

i.MX 7Dualは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)のプロセッサです。Cortex-A7およびCortex-M4を搭載しています。i.MX 7Dualは、IoT機器に求められる高性能と低消費電力のどちらも兼ね備えたプロセッサです。

i.MX 7Dualの仕様

MCIMX7D2 MCIMX7D3 MCIMX7D5 MCIMX7D7
Core Type Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7
Operating Frequency [Max] (MHz) 1200 1000 1000 1000
L2 Cache (Max) (KB) 512 512 512 512
SRAM (kB) 256 256 256 256
Co Processor Type Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F
Co Processor Frequency (MAX) (MHz) 200 200 200 200
External Memory Supported[Max] DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, LPDDR3 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI
Video/Display features[Max] MIPI-CSI, MIPI-DSI, PCP, parallel RGB LCD controller MIPI-CSI, MIPI-DSI, PCP, parallel RGB LCD controller MIPI-CSI, MIPI-DSI, PCP, parallel RGB LCD controller MIPI-CSI, MIPI-DSI, PCP, parallel RGB LCD controller
Camera Interfaces 1 x MIPI-CSI-2, 1 x parallel CSI 1 x MIPI-CSI-2, 1 x parallel CSI 1 x MIPI-CSI-2, 1 x parallel CSI 1 x MIPI-CSI-2, 1 x parallel CSI
USB Controllers 3 3 3 3
Serial Communication 1 x PCIe 2.0, 4 x I²C, 4 x SPI, 7 x UART 1 x PCIe 2.0, 4 x I²C, 4 x SPI, 7 x UART 1 x PCIe 2.0, 4 x I²C, 4 x SPI, 7 x UART 1 x PCIe 2.0, 4 x I²C, 4 x SPI, 7 x UART
Audio Specific Modules SAI SAI SAI SAI
Ethernet 2 x 1 Gbps + IEEE 1588
PCIe 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0
CAN 2
Package Type) TFBGA488、LFBGA541 TFBGA488 TFBGA488、LFBGA541 TFBGA488、LFBGA541
Package
Termination Count[MAX]
541 488 541 541
Package Pitch (mm)[MAX] 0.75 0.4 0.75 0.75
Junction Temperature (Min) (℃) 0 -20 -20 0
Junction Temperature (Max) (℃) 85 105 105 95

出典:i.MX 7Dual Processors

i.MX 7Dualとは

i.MXシリーズとは

i.MXシリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの特徴は、ARMコアを搭載し、低消費電力であることです。

i.MXシリーズのラインアップ

i.MXシリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX RTシリーズ:産業用IoTアプリケーション向け
  • i.MX 6シリーズ :自動車、産業用アプリケーション向け
  • i.MX 7シリーズ :ポータブルIoTアプリケーション向け
  • i.MX 8シリーズ :グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向け
  • i.MX28     :自動車、産業用アプリケーションの電源管理および接続機能向け

i.MX 7Dualは、ポータブルIoTアプリケーション向けの「i.MX 7シリーズ 」に属します。

i.MX 7シリーズとは

i.MX 7シリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの中でも、Cortex-A7およびCortex-M4を搭載し、ポータブルIoTアプリケーション向けに特化しています。

i.MX 7シリーズは、デュアルコアアーキテクチャです。このため、高度なリアルタイム性能を実現しています。

デュアルコア

コアを複数搭載したマルチコアのうち、コアを2つ搭載したものをデュアルコア、コアを4つ搭載したものをクアッドコアと言う。

組み込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説

i.MX 7シリーズのラインアップ

i.MX 7シリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX 7ULP:超低消費電力
  • i.MX 7Solo:ヘテロジニアスプロセッシング
  • i.MX 7Dual:ハイパフォーマンス

この記事では、ハイパフォーマンスな「i.MX 7Dual」を紹介します。

i.MX 7Dualとは

i.MX 7Dualプロセッサフ​​ァミリは、高度な機能統合を備えた低電力要件向けの高性能処理における最新の成果を表しています。これらのプロセッサは、接続されたデバイスの成長市場を対象としています。プロセッサのi.MX 7Dualファミリは、ARMの私たちの高度な実装備え®のCortexを®-最大1.2GHzの速度で動作するA7コア、およびArmCortex-M4コア。i.MX 7Dualファミリは、16/32ビットDDR3L / LPDDR2 / LPDDR3-1066、クアッドSPIメモリ、NAND、eMMC、NORなどの複数のメモリタイプをサポートしています。いくつかの高速接続接続には、AVB、PCIe、およびUSBを備えたギガビットイーサネットが含まれます。パラレルおよびシリアルの両方のディスプレイおよびカメラインターフェイスが提供され、電気泳動ディスプレイ(EPD)に直接接続する方法も提供されます。

出典:i.MX 7Dual Processor

i.MX 7Dualは、Cortex-A7およびCortex-M4を搭載したマルチコアプロセッサです。マルチコアの中でも、異なるコアを搭載した、ヘテロジニアスマルチコアプロセッサです。

Cortex-A7とCortex-M4の消費電力・動作周波数は、以下の通りです。

Cortex-A7 Cortex-M4
消費電力 100µW/MHz 70µW/MHz
動作周波数 1.2GHz 266MHz

高いレベルの処理が必要なときは、より高性能なCortex-A7を使用し、そうでない時は消費電力の少ないCortex-M4を使用することで、処理を最適化しています。

またi.MX 7Dualは、LCDだけでなく、電気泳動ディスプレイ(EPD)コントローラーや、AVBをサポートするデュアルギガビットETHコントローラーにも接続可能です。

上記の特徴からi.MX 7Dualは、IoT機器に求められる高性能と低消費電力のどちらも兼ね備えたプロセッサです。

i.MX 7Dualのデータシートは、以下をご覧ください。

i.MX 7Dualのデータシート

i.MX 7Dualの入手方法

i.MX 7Dualは、NXP社の正規販売店や以下のオンラインショップなどで購入できます。

i.MX 7Dualの開発環境

i.MX 7Dualに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • IAR Embedded Workbench for ARM
  • Arm Keil MDK

i.MX 7Dual評価ボード

搭載CPU 特徴 対象 データシート
SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processors i.MX 7Dual EPD(電気泳動ディスプレイコントローラ)、パラレルLCDディスプレイ、HDMIディスプレイなどの機能に加えて、Wi-FiやBluetoothなどのワイヤレス接続も可能 i.MX 7Dual でスマートデバイスを開発したい SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processorsのデータシート

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processors

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processorsは、スマートデバイスの開発が可能なボードです。

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processorsは、EPD(電気泳動ディスプレイコントローラ)、パラレルLCDディスプレイ、HDMIディスプレイなどの機能に加えて、Wi-FiやBluetoothなどのワイヤレス接続も可能にします。

これらの特長からSABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processorsは、「i.MX 7Dual でスマートデバイスを開発したい」という方に最適の評価ボードです。

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 7Dual Applications Processorsの価格・購入場所

i.MX 7Dualの対応OS

i.MX 7Dualに対応している主なOSは、以下の通りです。

  • Linux
  • FreeRTOS
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M(同上)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux(同上)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

32/64bitの高性能プロセッサに最適化
割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
豊富なプロセッサ・サポート
業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
マルチコア対応
組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
豊富なデバイスドライバを用意
I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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マルチコアAMP拡張版RTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M」

μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのリアルタイムOSです。

μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。

ARM Cortex-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。

リアルタイム処理に最適なAMP型カーネル
自由にタスクや資源を各CPUに割り当てることで、システムの負荷分散が容易に実現できます。
  
μITRON APIによるCPU間通信機能
タスク間通信などの機能をCPU間通信でも実現ができ、シングルコアと同様にプログラミングができます。
  
一括リンクによるコード効率の向上
コア別のプログラムを一括リンクすることで、より効率の良いプラグラミングができます。
  
多彩なミドルウェアや豊富なデバイスドライバを用意
μC3/Standard対応のミドルウェアやデバイスドライバを利用できます。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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LinuxとRTOSの共存ソリューション「μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux」

μC3+LinuxはマルチコアCPUにLinuxとRTOSを共存させ、OS間の通信を可能にするソリューションです。

種類の異なった2つのOSを共存させることで、RTOSのリアルタイム性能とLinuxが持つ豊富なソフトウェア資産を有効に活用することができます。

異なったタイプのマルチコアCPUに対応
ホモジニアス(同一プロセッサ・コアによる構成)ヘテロジニアス(異なるプロセッサ・コアによる構成)の両方に対応しています。
メーカー提供のLinuxディストリビューションに対応
CPUベンダーが標準でサポートするLinuxに対応し、アプリケーションの開発が迅速にできます。
OS間通信をサポート
メッセージ形式のAPI(RPMsg)を使って、OS間の通信を容易に実現できます。
OpenAMP仕様を採用
Multicore Associationによって標準化されたOpenAMPの仕様に対応しています。
RTOSによる高速ブート
μC3を先に起動することで高速起動ができます。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

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保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ

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  • プリンタメーカー製 ラベルプリンタ