FPGA用のNios IIとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

Nios II(読み方:ニオスツー)とは、インテルのプロセッサのひとつです。Nios IIは、FPGA向けに特化して設計されています。

Nios IIの製品ライン

Nios IIの製品ラインは、下記の通りです。

  • Nios II /e(エコノミー)
  • Nios II /f(高速)

Nios IIの仕様

機能 Nios II /e(エコノミー) Nios II /f(高速)
最大周波数(MHz) 370(Stratix V) 350(Stratix V)
最大性能(MIPS@MHz)Stratixシリーズ 56(370 MHz) 396(350 MHz)
最大性能(MIPS@MHz)Arriaシリーズ 38(250 MHz) 203(180 MHz)
最大性能(MIPS@MHz)Cycloneシリーズ 32(210 MHz) 203(180 MHz)
最大性能効率(MIPS@MHz) 0.15 1.13
16/32ビット命令セット・サポート 32 32
レベル1 命令キャッシュ コンフィギュレーション可能
レベル1 データ・キャッシュ コンフィギュレーション可能
レベル2 キャッシュ
メモリ・マネージメント・ユニット(MMU) コンフィギュレーション可能
浮動小数点演算ユニット FPCI
ベクトル割り込みコントローラ
蜜結合メモリ コンフィギュレーション可能
カスタム命令インターフェース 最大256 最大256
等価LE 600 1,800-3,200

出典:Nios II エンベデッド・ソフトコア・プロセッサ

Nios IIとは

Nios II プロセッサーは、世界で最も汎用性に優れたプロセッサーであり (ガートナー調べ)、FPGA 業界で最も広く利用されているソフトコア・プロセッサーです。卓越した柔軟性を備えているため、コスト重視、リアルタイム制御、セーフティー・クリティカル (DO-254)、アプリケーション処理といったニーズを満たす上で最適です。Nios II プロセッサーは、インテル FPGA ファミリーおよび SoC ファミリーをすべてサポートしています。

引用:Nios II プロセッサー

FPGA(読み方:エフピージーエー)とは

FPGAとは、「現場で書き換え可能な論理回路の多数配列」を意味する「Field Programmable Gate Array」の略で、チップの種類の一つ。名前の通りFPGAは、ユーザーが現場(Field)でプログラムを書き換えられる。数万~100万ゲート規模の論理回路がプログラム可能なため、自由度が高いのが特徴。

組み込みのFPGAとは?仕組み、意味、特徴をわかりやすく解説

Nios IIの機能

Nios IIの詳しい機能は下記のとおりです。

  • MMU
  • MPU
  • コントローラーごとに 32 回まで割り込み可能な外部ベクター割り込みコントローラー
  • 高機能な例外のサポート
  • 独立した命令キャッシュとデータキャッシュ (512 バイトから 64 K バイトまでコンフィグレーション可能)
  • 最大 4GB の外部アドレス空間
  • 命令およびデータ用密結合メモリー (TCM) (オプション)
  • 最大 DMIPS (Dhrystone 2.1 ベンチマークを利用) / MHz を達成する 6 段パイプライン
  • シングルサイクル・ハードウェアによる乗算、およびバレルシフター
    ハードウェア除算オプション
  • ダイナミック分岐予測
  • 最大 256 個のカスタム・インストラクションと制限のないハードウェア・アクセラレーター
  • コンフィグレーション可能な JTAG デバッグモジュール
  • ハードウェア・ブレークポイント、データトリガー、リアルタイム・トレースなどの JTAG デバッグモジュール拡張機能 (オプション)

出典:Nios II プロセッサーの機能

MIPSとは

CPUの処理速度を表す単位。「毎秒100万回の命令」を意味する「Million Instructions Per Second」の略。ベンチマークプログラムの「Dhrystone」を使った場合、頭にDを付けて「DMIPS」と呼ばれる。MIPS、DMIPSは数値が高ければ高いほど処理性能が高い。

Dhrystone(ドライストーン)とは?意味、特徴、定義をわかりやすく解説

Nios IIの特徴

Nios IIの特徴は、以下の通りです。

  1. 柔軟性
  2. 長い製品寿命
  3. 低コスト
  4. 高性能

【特徴1】Nios IIの柔軟性

Nios IIの1つめの特徴は、柔軟性です。

Nios IIは、インテル主流のFPGAをすべてサポートしています。

また、Nios IIは、カスタマイズ可能なペリフェラルセットを提供しています。標準的なCPUでは実現できない構成であっても、任意のペリフェラル、メモリー、および I/O の組み合わせを実現できます。

以上のようにNios IIは、要求に応じてカスタマイズが可能なプロセッサです。

【特徴2】Nios IIの長い製品寿命

Nios IIの2つめの特徴は、製品寿命が長いことです。

Nios IIは、フィールドに展開済みの製品に対しソフトウェアを更新するのと同じように、ハードウェアを更新できます。

このため、時間経過に伴ってハードウェア機能を充実させられるほか、バグ修正も容易になるため、製品の返品や再作業も不要になります。

以上のように、Nios IIは長い製品寿命を持っています。

【特徴3】Nios IIは低コストなプロセッサ

Nios IIの3つめの特徴は、低コストであることです。

Nios IIは、低コストなコアを搭載しています。Nios IIのコアは、ロジック利用効率に特化して設計されています。

このためNios IIは、最小限のロジックとメモリーリソースを使用した、低コストなプロセッサを実現しています。

【特徴4】高性能

Nios IIの4つめの特徴は、高性能であることです。

Nios IIのコアは、性能に配慮して設計されており、250MHzで動作します。

また、マルチコア処理にも対応しています。

マルチコアとは

「マルチコア(メニーコア)」とは、1つのプロセッサの中に複数のCPUコアを内蔵する技術のこと。マルチコアのプロセッサは、複数の処理を並列しておこなうことで、シングルコアに比べ、高い処理能力を実現できる。

マルチコアについては、以下をご覧ください。

組み込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説

Nios IIの入手方法

Nios IIは、下記のインテルの販売代理店で購入できます。

Nios IIの開発環境(IDE)

Nios IIに対応した代表的な開発環境は、以下のとおりです。

Nios IIの評価ボード

Nios IIの評価ボードは、下記の通りです。

評価ボード 対象者
インテル MAX 10 FPGA 開発キット Nios II エンベデッド・デザイン・スイート (EDS) を用いて開発したい
BeMicro MAX 10 LEDやボタンなどMAX 10にはない機能を使用して開発したい

いずれも、インテルのMAX 10 FPGAを使用した開発ボードです。

MAX 10 FPGAとは

MAX 10 FPGAとは、インテルの低コストなFPGA。Nios IIの統合をサポートしている。

インテル MAX 10 FPGA 開発キット

インテル MAX 10 FPGA 開発キットは、インテルのFPGA開発キットです。Nios IIを利用した開発が可能です。インテル MAX 10 FPGA開発キットを用いてNios IIの開発を行うと、Nios II エンベデッド・デザイン・スイート (EDS) を始めとする様々な開発ツールを利用できます。

Nios II エンベデッド・デザイン・スイート (EDS) とは

Nios II エンベデッド・デザイン・スイート (EDS) とは、Nios II向けの開発パッケージ。TCP/IP ネットワーク・スタックやハードウェア・デザイン例、ソフトウェア・アプリケーションが含まれている。

BeMicro MAX 10

BeMicro MAX 10は、FPGA開発キットです。Nios IIを利用した開発が可能です。

BeMicro MAX 10は、MAX 10の機能に加え、8MBのSDRAM、加速度計、DAC、温度センサ、LEDやボタンなどを搭載しています。このため、それらの拡張機能を用いて開発を行う場合に適しています。

ポイント
  • インテル MAX 10 FPGA 開発キット:Nios II エンベデッド・デザイン・スイート (EDS) を用いて開発できる
  • BeMicro MAX 10:LEDやボタンなどMAX 10にはない機能を使用して開発できる

Nios IIの対応OS

Nios IIに対応している主なOSは、下記の通りです。

  • FreeRTOS
  • eCosPro
  • eCos
  • embOS
  • Euros
  • Linux
  • TargetOS
  • ThreadX
  • Toppers
  • Zephyr
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。

μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。

小さいフットプリント
マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
μC3/Configurator付属
選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
豊富なCPUサポート
業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
省電力対応
デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

資料ダウンロード(無料)

保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ

Nios IIとμC3/Compactの導入事例

  • SIer製 データ収集基板
  • 放送局向け機器メーカー製 放送機器、映像・音声の収録・送出機器
  • 電機メーカー製 映像音声伝送装置