MicrochipのSAM Eシリーズとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

SAM Eシリーズは、Microchipのマイクロコントローラです。Cortex-M4を搭載したSAM E5x、Cortex-M7を搭載したSAM E70の2種類に大別されます。SAM Eシリーズは、産業用オートメーションやIoTなどに適しています。

SAM Eシリーズの仕様

SAM E51 SAM E53 SAM E54 SAM E70
自動車製品への使用推奨 Yes No No No
CPUコア Cortex-M4 Cortex-M4 Cortex-M4 Cortex-M7
最大CPU速度(MHz) 120 120 120 300
最大プログラムメモリサイズ (KB) 1024 1024 1024 2048
最大SRAM (KB) 256 256 256 384
DRAMインターフェース なし sdram なし sdram
SDIO/SD-CARD/eMMC(最大) 2 2 2 1
温度範囲  -40 to 105 -40 to 105
-40 to 125
-40 to 125 -40 to 105
動作電圧範囲 1.71V – 3.6V 1.71V – 3.6V
1.7V – 3.6V
1.7V – 3.6V 1.7V – 3.6V
ダイレクトメモリアクセスチャンネル(最大) 32 32 32 24
ADC入力(最大) 28 28 32 24
最大ADC解像度 12 12 12 12
DACの数 1 1 1 1
USBインターフェース Full speed Full speed
High speed
Full speed High speed
USBモジュールの数 1 1 1 1
コンパレータの数(最大) 2 2 2 1
タイマー 7 x 16-bit 2 x 32-bit
11 x 16-bit 5 x 32-bit
13 x 16-bit 5 x 32-bit
11 x 16-bit 5 x 32-bit
12 x 16-bit 0 x 32-bit
13 x 16-bit 5 x 32-bit
13 x 16-bit
5 x 32-bit
12 x 16-bit 0 x
32-bit
キャプチャ/比較/PWM/周辺機器 0 -Std. PWM 32-bit PWM resolutions 13 -Input Capture
0 -Std. PWM 32-bit PWM resolutions 17 -Input Capture
0 -Std. PWM 32-bit PWM resolutions 17 -Input Capture
24 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 24 -Input Capture
0 -Std. PWM 32-bit PWM resolutions 17 -Input Capture 3 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 3 -Input Capture
8 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 8 -Input Capture
24 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 24 -Input Capture
モーター制御PWM出力(最大) 17 17 17 16
UART/SPI/I2C(最大) 8 -UART 8 -SPI 8 -I2C 8 -UART 8 -SPI 8 -I2C 8 -UART 8 -SPI 8 -I2C 8 -UART 5 -SPI 3 -I2C
I2S(最大) 1 1 1 3
周辺ピンセレクト/ピンマルチプレクサ
低電力 ×
QSPI(最大) 1 1 1 1
直交エンコーダ インターフェイス(最大) 0 4 0 4
暗号エンジン
ハードウェアタッチペリフェラル PTC PTC PTC None
CANモジュールの数(最大) 2 0 2 2
CANモジュールのタイプ CAN-FD None CAN-FD CAN-FD
Ethernet None 10/100 Base-TX Mac 10/100 Base-TX Mac Ethernet AVB
ピン数(最大) 100 100 128 144
パッケージ 48/VQFN
64/TQFP 64/VQFN
100/TQFP
64/TQFP 64/VQFN
100/TQFP
120/TFBGA 128/TQFP 64/LQFP
100/LQFP 100/TFBGA
144/LFBGA 144/LQFP 144/UFBGA

出典:New/Popular SAM E 32-bit MCU Products

SAM Eシリーズとは

SAM Eシリーズの特徴

Microchip SAM EシリーズMCUは、中性能のARM®Cortex®-M4Fプロセッサ(SAME5X)と高性能32ビットARM Cortex -M7 RISCプロセッサ(SAME70)で構成されています。

SAM E MCUは、FPUコプロセッサと高度なアナログ機能、および一連のタイミング機能と制御機能を組み合わせて、IoTまたはスマートエネルギーゲートウェイ、産業オートメーション、ビル制御アプリケーションに最適です。

原文は、以下の通りです。

Microchip SAM E series MCUs comprise of the mid-performance ARM® Cortex®-M4F Processors(SAME5X) and the high-performance 32-bit ARM Cortex -M7 RISC processors (SAME70).

Combining an FPU co-processor and advanced analog features, as well as a full set of timing and control functions, SAM E MCUs are ideal for IoT or Smart Energy gateways, industrial automation and building control applications.

出典:SAM E MCUs

SAM Eシリーズのラインアップ・データシート

SAM Eシリーズのラインアップとデータシートは、下記の通りです。

SAM E5X SAM E5Xのデータシート
SAM E70 SAM E70のデータシート

SAM E5Xとは

SAM E5Xは、FPU機能を備えたARM Cortex-M4を搭載しています。これにより、CPUの負荷を軽減し、消費電力を低減しています。

FPU(読み方:エフピーユー)とは

「浮動小数点演算装置」を意味するFloating-Point Unitの略。浮動小数点数の演算に特化した演算装置。

また、SAM E5Xは、ECC(誤り検出訂正)付きのデュアルパネルフラッシュや、ECC付きのSRAMを搭載しています。

ECC(Error Correction Code)とは

ECCとは、「誤り検出訂正」を意味するError Correction Codeの略。エラーを検出し、修正する機能のこと。

また、産業用オートメーションや汎用アプリケーション向けに、Ethernet MACやCAN-FDポートも追加しています。

SAM E70とは

SAM E70は、FPU機能を備えたARM Cortex-M7を搭載しています。SAM E70は、イーサネットや高速PHYを備えたUSBホストなど、高度なペリフェラル(周辺機器)を提供しています。このため、 IoTまたはスマートエネルギーゲートウェイ、産業用オートメーションなどに適しています。

また、SAM E70シリーズは、SAM S70と同じ機能を搭載しており、互換性があります。

SAM Eシリーズの入手方法

SAM Eシリーズのマイコンは、Microchipの正規販売店で購入できます。

SAM Eシリーズの開発環境

SAM Eシリーズに対応した代表的な開発環境は、以下のとおりです。

  • MPLAB ®
  • MPLAB® Harmony 統合ソフトウェア フレームワーク
  • IAR Embedded Workbench for ARM
  • Atmel Studio
  • Atmel START

SAM Eシリーズの評価ボード

SAM Eシリーズの評価ボードは、下記の通りです。

ボード 搭載マイコン 特徴 対象
SAM E54 Curiosity Ultra開発ボード SAM E54 統合されたプログラマーとデバッガ―が含まれている すぐに開発をスタートしたい方
SAM E70 Xplained評価キット SAM E70 拡張ボードを追加できる カスタム設計を開発したい方
SAM E54 Xplained Pro評価キット・SAM E70 Xplained Ultra評価キット SAM E54、SAM E70 Atmel Studioがサポートしている評価ボード デバイスをカスタムデザインに統合したい方

SAM E54 Curiosity Ultra開発ボード

SAM E54 Curiosity Ultra開発ボードは、統合されたプログラマーとデバッガ―が含まれています。このためSAM E54 Curiosity Ultra開発ボードは、追加でハードウェアを用意することなく、すぐに開発をスタートできます。

これらの特長からSAM E54 Curiosity Ultra開発ボードは、「すぐに開発をスタートしたい」という方に最適の評価ボードです。

SAM E70 Xplained評価キット

SAM E70 Xplained評価キットは、拡張ボードを追加できる評価ボードです。

このためSAM E70 Xplained評価キットは、「ボードの機能を拡張し、カスタム設計を開発したい」という方に最適の評価ボードです。

SAM E54 Xplained Pro評価キット・SAM E70 Xplained Ultra評価キット

SAM E54 Xplained Pro評価キット、SAM E70 Xplained Ultra評価キットは、Microchipが提供する統合開発プラットフォームのAtmel Studioがサポートしています。Atmel Studioを使用すると、デバイスをカスタムデザインに統合する方法がわかります。

このためSAM E54 Xplained Pro評価キット、SAM E70 Xplained Ultra評価キットは、「デバイスをカスタムデザインに統合したい」という方に最適の評価ボードです。

SAM Eシリーズの対応OS

SAM Eシリーズに対応しているOSは以下のとおりです。

  • ThreadX
  • FreeRTOS
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。

μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。

小さいフットプリント
マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
μC3/Configurator付属
選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
豊富なCPUサポート
業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
省電力対応
デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

資料ダウンロード(無料)

保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ