【ルネサス】EtherCAT通信LSIのEC-1とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

EC-1とは、ルネサスエレクトロニクス(以下、「ルネサス」)のLSIです。EC-1は、Cortex-R4FとEtherCATスレーブコントローラを搭載し、EtherCAT通信に最適化されています。

EC-1の仕様

CPUコア Cortex-R4F
USBホスト機能 Yes
USBペリフェラル機能 Yes
USB (チャネル) 1
USB Hi-speed対応 Yes
USBエンドポイント 10
USB Isochronous転送対応 Yes
USB補足説明
USB MCU/ USB ASSP
最高動作温度 (°C) 125
最低動作温度 (°C) -40

出典:EtherCAT通信LSI(EC-1)

EC-1とは

EC-1は、Cortex-R4Fを搭載したLSIです。

LSI(読み方:エルエスアイ)とは

LSIとは、素子数が多い集積回路のこと。「大規模な集積回路」を意味する「Large Scale Integrated circuit」の略。LSIは、一般的に、素子数が1000個以上のものを指すが、明確な基準はない。

またEC-1は、EtherCATスレーブコントローラを搭載し、EtherCAT通信に最適な仕様となっています。

EtherCAT(読み方:イーサキャット)とは

EtherCATとは、産業用ネットワーク規格の一つ。マスタの仕様が完全にオープンになっている点が特徴。また、Ethernetという産業用ネットワーク規格と互換性がある。

EC-1の特長

EC-1の特長は、以下の通りです。

  1. EC-1リモートI/O ソリューションを用意
  2. 低速シリアル通信からEtherCAT通信への移行を容易に実現可能
  3. EtherCATに最適な仕様とコスト低減

【特長1】EC-1リモートI/O ソリューションを用意

EC-1には、「EC-1リモートI/O ソリューション」というソリューションが用意されています。このソリューションには、ハードウェア、ソフトウェア、統合開発環境がワンパッケージに盛り込まれています。

EC-1リモートI/O ソリューションは、EtherCATテストセンタ(ETC)でコンフォーマンステストに合格しています。

EtherCATテストセンタとは

EtherCATテストセンタとは、EtherCAT Technology Groupが公式に認証したコンファーマンステストセンタ。

EC-1リモートI/O ソリューションのコンフォーマンステスト項目は、以下の通りです。

Test Report Number : 0x766_001

CTT Version : V2.0.42

  • Indicator Test : OK
  • Labeling Test : OK
  • Distribute clock : OK
  • Explicit Device ID : OK
  • CoE Mailbox protocol : OK
  • CiA402 profile : –
  • Interoperability Test : OK

出典:EC-1リモートI/O ソリューション

【特長2】低速シリアル通信からEtherCAT通信への移行を容易に実現可能

EC-1は、シリアルインターフェースを搭載しています。

シリアルインターフェースとは

シリアルインターフェースとは、シリアル通信を実現するインターフェース(接続部分)のこと。

このためEC-1は、既存の低速シリアル通信の製品と接続し、EtherCAT通信への移行を容易に実現できます。

シリアル通信、シリアルインターフェースの詳細は、以下のページをご覧ください。

シリアル通信・シリアルインターフェースとは?種類・仕組み・定義をわかりやすく解説

【特長3】EtherCATに最適化された仕様とコスト低減

EC-1の仕様は、EtherCATに最適化されています。FPU搭載のCortex-R4プロセッサコアやEtherCATスレーブコントローラ(ESC)を搭載しています。

EC-1は、EtherCAT通信に最適化することでパッケージも12×12mmまで小型化しています。このためEC-1を使用すると、部品コストの低減も可能です。

EC-1の入手方法

EC-1は、以下のルネサスの特約店・取扱店や、オンラインショップなどで購入できます。

EC-1の開発環境

EC-1に対応した開発環境は、下記の通りです。

  • IAR Embedded Workbench for ARM

EC-1の評価ボード

EC-1の評価ボードは、下記の通りです。

ボード 特徴 対象 データシート
EC-1 搭載評価ボード TS-EC-1 EtherCATの通信評価が可能

各種インターフェースの評価が可能

すぐにEC-1の評価・開発をスタートしたい方 EC-1 搭載評価ボード TS-EC-1のデータシート

EC-1 搭載評価ボードTS-EC-1は、テセラテクノロジー社製の評価ボードです。EC-1が搭載されており、EtherCATの通信評価が可能です。CAN/RS-485/UART(USB)/デジタルI/O等のインターフェースの評価も可能です。

また、ルネサス社のウェブサイトに掲載されているサンプルコードを用いて開発可能です。

これらの特長から、EC-1 搭載評価ボードTS-EC-1は、「すぐにEC-1の評価・開発をスタートしたい」という方に最適の評価ボードです。

EC-1の対応OS

EC-1に対応している主なOSは、以下の通りです。

  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。