シリアル通信・シリアルインターフェースとは?種類・仕組み・定義をわかりやすく解説

シリアル通信とは、1本の信号線や回線を使い1ビットずつ順番にデータを送信する通信方式のことです。また、シリアル通信を実現するインターフェース(接続部分)をシリアルインターフェースと言います。

これに対し、複数の信号線や回線で複数ビットのデータを同時に送信する方式をパラレル通信と言います。

シリアル通信・シリアルインターフェースの通信方式の種類

シリアル通信を行う上では、受信側は届いた信号からデータの始まりと終わりがどこなのかを見分け、データを正確に取り込む必要があります。データを正確に取り込むために、受信側が送信側の信号に正しくタイミングを合わせることを「同期」といいます。

この同期の取り方には、主に「同期式」と「非同期式(調歩同期式)」の2種類があります。同期式と非同期式の違いは、同期用のクロック信号の有無です。

同期式通信=クロック信号で同期する通信方式

同期式通信は、データとともに同期用のクロック信号が伝えられる通信方式。受信側はそのクロック信号のタイミングでデータ信号を読み取り、同期させる。

非同期式通信(調歩同期式)=スタートビットの長さで同期する通信方式

非同期式(調歩同期式)は、同期用のクロック信号を持たない通信方式。クロック信号ではなく、データの先頭(スタートビット)の長さを基準にして受信側で同期を取る。

シリアル通信・シリアルインターフェースの種類・例

4つのシリアル通信・シリアルインターフェースの種類

主なシリアルインターフェースには、次の5種類があります。

  • UART(読み方:ユーアート)
  • USART(読み方:ユーエスアート)
  • SPI(読み方:エスピーアイ)
  • Ethernet(読み方:イーサネット)
  • I2C(読み方:アイ・スクエアド・シー、アイ・アイ・シー)

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

UART(ユーアート)とは

UART(読み方:ユーアート)は、「非同期式受信機/送信機」を意味する「Universal Asynchronous Receiver/Transmitter」の略です。UARTは、非同期式(調歩同期式)シリアル通信とパラレル通信の変換を行うシリアルインターフェースです。

UARTは、非同期式のシリアル通信をパラレル通信に変換したり、逆にパラレル通信をシリアル通信に変換できます。非同期式通信には対応していますが、同期式通信には対応していません。

UARTは、組込みシステムでは、PCと組込み機器を接続し、テストやデバッグを行う時に多く利用されます。

UARTのあと続いて登場したUSARTでは、非同期式だけでなく、同期式のシリアル通信にも対応するようになりました。

ポイント
  • UARTは、シリアル通信とパラレル通信の変換を行うシリアルインターフェース
  • 非同期式に対応しているが、同期式通信には対応していない

USART(ユーエスアート)とは

USART(読み方:ユーエスアート)は、「同期式/非同期式受信機/送信機」を意味する「Universal Synchronous Asynchronous Receiver/Transmitter」の略です。USARTは、シリアル通信とパラレル通信の変換を行うシリアルインターフェースです。

すでに触れたとおり、従来のUARTでは非同期式のシリアル通信にしか対応していない、というデメリットがありました。このデメリットを解消するため登場したのがUSARTです。

このため、USARTは、UARTとは異なり、非同期式のシリアル通信だけではなく、同期式のシリアル通信にも対応しています。

ポイント
  • USARTは、シリアル通信とパラレル通信の変換を行うシリアルインターフェース
  • 非同期式だけでなく、同期式通信にも対応している

SPI(エスピーアイ)とは

SPI(読み方:エスピーアイ)は、モトローラ(現在はNXPセミコンダクターズ)が提唱している同期式のシリアルインターフェースです。SPIとは、Serial Peripheral Interfaceの略です。

SPIは、ほとんどが数Mbpsの通信速度に対応しています。SPIは、その高速性を生かし、主にマイコンとペリフェラル(周辺デバイス)の接続に使われています。

ポイント
  • SPIは、同期式のシリアルインターフェース
  • 高速性が高い
  • 主にマイコンとペリフェラル(周辺デバイス)の接続に使われている

Ethernet(イーサネット)とは

Ethernet(読み方:イーサネット)は、同期式のシリアルインターフェースの1つです。

Ethernetは、LAN(Local Area Network)の標準規格であり、企業のオフィス内ネットワークや家庭内のネットワーク接続に広く用いられています。

Ethernetの語源は、かつて物理学において光の媒介であると考えられていた「エーテル(Ether)」です。宇宙空間のいたるところにあると考えられていたエーテルのように、「どこにでも、あらゆるところに存在し、情報を伝える媒介になるもの」と願って付けられました。

ポイント
  • Ethernetは、同期式のシリアルインターフェース
  • LAN(Local Area Network)の標準規格
  • 企業のオフィス内ネットワークや家庭内のネットワーク接続に広く用いられている

Ethernetについて、詳しい情報は、以下の記事をご覧ください。

有線LAN規格のイーサネット(Ethernet)とは?種類・意味・定義を入門者向けにわかりやすく解説

また、Ethernetのうち、産業向けに使用されているものを「産業用イーサネット」と言います。

産業用イーサネット

産業用イーサネットとは、イーサネットのうち、産業向けに使用されているもののこと。工場内のネットワークで使用されており、オフィスなどで使用される標準的なイーサネットよりも、高い堅牢性、リアルタイム性能を備えている。

産業用イーサネットについて、詳しい情報は、以下の記事をご覧ください。

産業用イーサネット(Ethernet)とは?種類・意味・定義を入門者向けにわかりやすく解説

I2C(アイ・スクエアド・シー、アイ・アイ・シー)とは

I2C(読み方:アイ・スクエアド・シー、アイ・アイ・シー)は、同期式のシリアルインターフェースの1つです。I2Cは、Inter-Integrated Circuitの略です。

I2Cの特徴は信号線が少ない点です。2本の信号線でデータ通信を行います。

ただし、デメリットとして、SPIよりも通信速度が劣る点が挙げられます。

ポイント
  • I2Cは、同期式のシリアルインターフェース
  • I2Cは、2本の信号線でデータ通信を行う
  • I2Cは、SPIよりも通信速度が劣る

シリアル通信の通信速度(ボーレート)

シリアル通信の性能を測る指標として、通信速度があります。この通信速度は、ボーレートとも言います。

ボーレートとは

ボーレートとは、1秒間においてデジタルデータがアナログデータに何回変調したかを示す値。変調速度のこと。

シリアル通信のうち、代表的な規格であるUARTの通信速度は、ビット毎秒(bps)で示されます。

一般的に、UARTでよく使用される通信速度は、以下の通りです。

  • 9600
  • 19200
  • 38400
  • 57600
  • 115200

シリアル通信とパラレル通信の違い

シリアル通信とパラレル通信の違いは、データを送信する信号線や回線の数です。信号線・回線が1本のものがシリアル通信、複数のものがパラレル通信になります。

パラレル通信とは

パラレル通信とは、データ伝送を行う際に使用される通信方式の1つであり、複数の信号線や回線を使うことにより、データを同時並列的に送信する方式のものをいう。この同時並列的な送信方式により、パラレル通信では、1クロックにつき、複数ビット送信できる。

パラレル通信・パラレルインターフェースとは?種類・意味・定義をわかりやすく解説

シリアル通信とパラレル通信の違いについては、下記の記事をご覧ください。

シリアル通信とパラレル通信の違い・メリットは何ですか?

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