
STM32F1シリーズは、STマイクロエレクトロニクス(以下ST社)のCortex-M3コアを搭載した汎用マイクロコントローラです。STM32F1シリーズは、メインストリームマイコンの中の基本シリーズであり、比較的安価なマイコンです。
STM32F1の製品ライン
製品ライン | 概要 |
---|---|
STM32F100バリュー・ライン | コスト重視のアプリケーションに多様な選択肢を提供するエントリ・レベル・ライン |
STM32F101 | パフォーマンスとコストのバランスの取れたアクセス・ライン |
STM32F102 | USB2.0 FS機能を提供するUSBアプリケーション用の低コストな製品ライン |
STM32F103 | 16KBから1MBまでのFlashメモリを搭載する幅広い製品ライン |
STM32F105/107 | 接続性とリアルタイム性を提供する製品ライン |
STM32F1の仕様
STM32F1とは
STM32ファミリの製品ラインアップ
STM32ファミリのマイコンは、主に下記の5つに分類されています。
- 幅広いアプリケーションの開発を容易にする「マイクロプロセッサ」例:STM32MP1
- 最大1082 CoreMarkの高性能を実現した「ハイパフォーマンスマイコン」例:STM32F2、STM32H7など
- 汎用マイコンである「メインストリームマイコン」例:STM32F1、STM32F3など
- 消費電力を抑えた「超低消費電力マイコン」例:STM32L1、STM32L4など
- マイコンと無線トランシーバを集積したSoC「ワイヤレスマイコン」例:STM32WB、STM32WL
SoC(読み方:エスオーシー、ソック)とは
SoCとは、プロセッサの種類の一つ。SoCとは、システムに必要なあらゆる機能を1つのチップ上に搭載したもの。SoCは、「システムを一つのチップ上に載せる」を意味する「System on a Chip」の略。システム全体をチップ上に搭載することで、小型化が可能になるというメリットがある。また、システムの内部接続により消費電力も抑えられる。
STM32F1シリーズは、汎用マイコンの「メインストリームマイコン」に属します。
STM32F1とは
STM32F1シリーズは、ARM® Cortex®-M3をベースとし、産業、医療、およびコンスーマ市場の広範なアプリケーション・ニーズに対応するメインストリーム・マイクロコントローラです。
STは、このSTM32F1シリーズ製品によりARM Cortex-Mマイコンの市場を開拓し、組込みアプリケーションにおけるプレセンスを確立しました。STM32F1は高性能かつ多様なペリフェラルと低消費電力、低電圧動作を実現した低価格な製品シリーズです。また、シンプルなアーキテクチャと使いやすいツールを提供しています。
STM32F1シリーズは、Cortex-M3を搭載しており、メインストリームマイコンの中の基本シリーズです。STM32F1シリーズは、豊富な周辺機器(ペリフェラル)と低電力、低電圧動作を備えています。また、比較的安価で入手できます。
代表的なアプリケーションとして、医療機器、産業用アプリケーション、PLC、ホームオーディオ機器などがあります。
ポイント
- STM32F1シリーズは、豊富な周辺機器(ペリフェラル)と低電力、低電圧動作を備えている
- STM32F1シリーズは、比較的安価で入手できる
STM32F1シリーズの入手方法
STM32F1シリーズのマイコンは、ST社の販売代理店や下記のオンラインショップなどで購入できます。
- アクシスデバイス・テクノロジー株式会社
- クロニクス株式会社
- 三信電気株式会社
- ネクスティ エレクトロニクス株式会社
- 株式会社レスターエレクトロニクス
- 伯東株式会社
- 株式会社チップワンストップ
- 株式会社マクニカ
- MOUSER ELECTRONICS
STM32F1の開発環境
STM32F1に対応した代表的な開発環境は、下記の通りです。
- IAR Embedded Workbench for ARM
- Arm Keil MDK
- STM32CubeIDE
- SW4STM32
- Embedded Studio
STM32F1評価ボード
メーカー純正評価ボードのEVAL・DISCOVERY・Nucleo
STM32F1評価ボードには、下記の3種類があります。
- EVAL(エバル)ボード
- Discovery(ディスカバリー)ボード
- Nucleo(ニュークリオ)ボード
これらは、ST社から提供される純正の評価ボードであり、USBケーブルやPCを用意するだけで、簡単・安価に開発をスタートできます。
EVAL・DISCOVERY・Nucleoの特徴
EVAL、DISCOVERYとNucleoには、それぞれ次の特徴があります。
EVALの特徴
- LCDやUSBコネクタなどの機能が豊富なため、ボード上で実際にアプリケーションを開発することが可能
- STM32F1のほぼ全ての機能が評価可能
DISCOVERYの特徴
- EVALボードに比べて安価
- 実装されているデモサンプルが豊富
- STM32F1単体評価に最適
Nucleoの特徴
- DISCOVERYボードに比べて安価
- Arduino互換のPinヘッダーを搭載
- メーカーズなどのプロトタイプ向け
以上のように、デバイスのフル機能を評価したい場合はEVAL、STM32F1の単体評価をしたい場合はDiscovery、Arduino互換ボードを使ったプロトタイプ開発をしたい場合はNucleoを選択します。
ポイント
- デバイスのフル機能を評価したい場合はEVAL
- STM32F1の単体評価をしたい場合はDiscovery
- Arduino互換ボードを使ったプロトタイプ開発をしたい場合はNucleo
STM32F1に対応したEVALボード
STM32F1シリーズが評価できるEVALボードは3種類用意されています。
評価ボード | 搭載マイコン | データシート |
---|---|---|
STEVAL‑MKI109V2 | STM32F103 | STEVAL‑MKI109V2のデータシート |
STM3210B‑MCKIT | STM32 | STM3210B‑MCKITのデータシート |
STM3210E-EVAL | STM32F103Zx | STM3210E-EVALのデータシート |
STM32F1に対応したDISCOVERYボード
STM32F1シリーズが評価できるDISCOVERYボードは1種類用意されています。
評価ボード | 搭載マイコン | データシート |
---|---|---|
STM32VLDISCOVERY | STM32F100RB | STM32VLDISCOVERYのデータシート |
STM32F1に対応したNucleoボード
STM32F1シリーズが評価できるNucleoボードは1種類用意されています。
評価ボード | 搭載マイコン | データシート |
---|---|---|
NUCLEO-F103RB | STM32F103RB | NUCLEO-F103RBのデータシート |
STM32F1の対応OS
STM32F1に対応しているOSは下記のとおりです。
- ThreadX
- embOS
- embOS-MPU
- embOS-safe
- μT-Kernel
- NORTi Oceans
- NORTi Professional II
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。
μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。
STM32F1とμC3/Compactの導入事例
- 医用電子機器メーカー製 送信機