Zynq UltraScale+ MPSoCの仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

Zynq UltraScale+ MPSoCは、ザイリンクス社が提供するSoC(System-on-a-chip)です。プロセッサやコアが複数搭載されており、高性能であるのが特徴です。

Zynq UltraScale+ MPSoCとは

Zynq® UltraScale+™ MPSoC デバイスは、最大 64 ビットのプロセッサ スケーラビリティを提供し、ソフトおよびハード エンジンの連携によるリアルタイム制御によって、グラフィックス、ビデオ、波形、およびパケットの処理を実行します。共通するリアルタイム プロセッサとプログラマブル ロジックを統合したプラットフォーム上に構築された 3 種類のデバイス (デュアル アプリケーション プロセッサ (CG) デバイス、クワッド アプリケーション プロセッサと GPU (EG) デバイス、ビデオ コーデック (EV) デバイス) は、5G ワイヤレス、次世代 ADAS、およびインダストリアル IoT などのアプリケーションに無限の可能性をもたらします。

出典:Zynq UltraScale+ MPSoC

Zynq UltraScale+ MPSoCは、ザイリンクス社が提供するSoC(System-on-a-chip)です。

SoCとは

SoCとは、プロセッサ、メモリ、I/Oなどを1つの半導体上に載せる技術のこと。他の半導体と比べ、消費電力や製造コストの面で優れているのが特徴。
SoCは、1つの半導体上に多くの機能を搭載するため、装置を小型化できる。これにより、部品数が削減できるため、消費電力や製造コストも削減できる。

半導体のSoC(システムオンチップ)、システムLSIとは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

Zynq UltraScale+ MPSoCの特徴は、1つのSoC内にアプリケーション処理ユニット、リアルタイム処理ユニットの2つのプロセッサが搭載されていることです。

アプリケーション処理ユニットにはArm Cortex-A53、リアルタイム処理ユニットにはArm Cortex-R5を採用しています。
このように、プロセッサごとに異なるコアを搭載することで、それぞれのコアの機能を最適化しています。

また、各プロセッサ内にコアを複数搭載(=マルチコア)することで、更に高機能化しています。

組み込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説

Zynq UltraScale+ MPSoCのテクニカル リファレンス マニュアル、ソフトウェア開発者向けガイドは下記をご覧ください。

ポイント
  • Zynq UltraScale+ MPSoCは、1つのSoC内にアプリケーション処理ユニット、リアルタイム処理ユニットの2つのプロセッサを搭載している
  • Zynq UltraScale+ MPSoCは、各プロセッサ内にコアを複数搭載することで、高機能化している

Zynq UltraScale+ MPSoCの構成

Zynq UltraScale+ MPSoCは内蔵されているコアの個数別にCG、EG、EVの3つのファミリに分かれています。

詳しい構成は下記の通りです。

CG デバイス EG デバイス EV デバイス
アプリケーション プロセッシング ユニット デュアル コア Arm® Cortex™-A53 クワッド コア Arm Cortex-A53 クワッド コア Arm Cortex-A53
リアルタイム プロセッシング ユニット デュアル コア Arm Cortex-R5 デュアル コア Arm Cortex-R5 デュアル コア Arm Cortex-R5
グラフィックス プロセッシング ユニット Arm Mali™-400 MP2 Arm Mali-400 MP2
ビデオ コーデック ユニット H.264/H.265 をサポート
ダイナミック メモリ インターフェイス DDR4、LPDDR4、DDR3、DDR3L、LPDDR3
高速ペリフェラル PCIe® Gen2、USB3.1、SATA 3.0、DisplayPort、Gigabit Ethernet

出典:Zynq UltraScale+ MPSoC

Zynq UltraScale+ MPSoCの製品ライン

それぞれのファミリの特徴、ラインアップは下記の通りです。

Zynq UltraScale+ CGの特徴

出典:Zynq UltraScale+ MPSoC

Zynq UltraScale+ CGは、Zynq UltraScale+ MPSoCの中でも低コストのファミリです。デュアルコアArm Cortex-A53、デュアルコアArm Cortex-R5を内蔵しています。
Zynq UltraScale+ CGは、産業用モーター制御、センサー フュージョン、およびインダストリアル IoT アプリケーション向けに最適化されています。

Zynq UltraScale+ CGのラインアップ

Zynq UltraScale+ CGのラインアップは以下の通りです。

  • ZU2CG
  • ZU3CG
  • ZU4CG
  • ZU5CG
  • ZU6CG
  • ZU7CG
  • ZU9CG

Zynq UltraScale+ EGの特徴

出典:Zynq UltraScale+ MPSoC

Zynq UltraScale+ EGは、Zynq UltraScale+ MPSoCの中でもミドルクラスのものです。クアッドコアArm Cortex-A53、デュアルコアArm Cortex-R5を内蔵しています。

更に、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であるARM Mali-400 MP2も搭載しています。

Zynq UltraScale+ EGは、次世代ワイヤード/5G ワイヤレス インフラストラクチャ、クラウド コンピューティング、および航空宇宙/防衛向けアプリケーションで成功するために必要な専用の処理機能を備えています。

Zynq UltraScale+ EGのラインアップ

Zynq UltraScale+ EGのラインアップは以下の通りです。

  • ZU2EG
  • ZU3EG
  • ZU4EG
  • ZU5EG
  • ZU6EG
  • ZU7EG
  • ZU9EG
  • ZU11EG
  • ZU15EG
  • ZU17EG
  • ZU19EG

Zynq UltraScale+ EVの特徴

出典:Zynq UltraScale+ MPSoC

Zynq UltraScale+ EVは、EGをベースに構築されています。Zynq UltraScale+ EVは、EGには無かったビデオコーデックユニットが統合されています。このビデオコーデックユニットは、高精細ビデオを想定して設計されています。

このため、EV デバイスは、マルチメディア、車載用 ADAS、監視システム、その他エンベデッド ビジョン アプリケーションに最適化されています。

Zynq UltraScale+ EVのラインアップ

Zynq UltraScale+ EVのラインアップは以下の通りです。

  • ZU4EV
  • ZU5EV
  • ZU7EV
ポイント
  • Zynq UltraScale+ CG:低コストのファミリ
  • Zynq UltraScale+ EG:ミドルクラス
  • Zynq UltraScale+ EV:EGにビデオコーデックユニットを追加

Zynq UltraScale+ MPSoCシリーズの入手方法

Zynq UltraScale+ MPSoCシリーズのプロセッサは、下記の販売代理店で購入できます。

Zynq UltraScale+ MPSoCの開発環境

Zynq UltraScale+ MPSoCに対応した代表的な開発環境は以下のとおりです。

  • SDSoC 開発環境
  • Vivado

Zynq UltraScale+ MPSoC評価キット(評価ボード)

ザイリンクス社からは以下の純正の評価キットが提供されています。

また、サードパーティのAvnet社からは、以下の評価キットが提供されています。

Zynq UltraScale+ MPSoCの対応OS

Zynq UltraScale+ MPSoCに対応しているOSは、以下の通りです。

  • Android 5.1 (Lollipop)
  • INTEGRITY
  • eT-Kernel
  • FreeRTOS
  • Enea OSE
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M(同上)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux(同上)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

μC3/Standardの4つの特長

32/64bitの高性能プロセッサに最適化
割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
豊富なプロセッサ・サポート
業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
マルチコア対応
組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
豊富なデバイスドライバを用意
I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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マルチコアAMP拡張版RTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M」

μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのリアルタイムOSです。

μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。

ARM Cortex-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。

μC3/Standard+Mの4つの特長

リアルタイム処理に最適なAMP型カーネル
自由にタスクや資源を各CPUに割り当てることで、システムの負荷分散が容易に実現できます。
  
μITRON APIによるCPU間通信機能
タスク間通信などの機能をCPU間通信でも実現ができ、シングルコアと同様にプログラミングができます。
  
一括リンクによるコード効率の向上
コア別のプログラムを一括リンクすることで、より効率の良いプラグラミングができます。
  
多彩なミドルウェアや豊富なデバイスドライバを用意
μC3/Standard対応のミドルウェアやデバイスドライバを利用できます。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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LinuxとRTOSの共存ソリューション「μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux」

μC3+LinuxはマルチコアCPUにLinuxとRTOSを共存させ、OS間の通信を可能にするソリューションです。

種類の異なった2つのOSを共存させることで、RTOSのリアルタイム性能とLinuxが持つ豊富なソフトウェア資産を有効に活用することができます。

μC3+Linuxの5つの特長

異なったタイプのマルチコアCPUに対応
ホモジニアス(同一プロセッサ・コアによる構成)ヘテロジニアス(異なるプロセッサ・コアによる構成)の両方に対応しています。
メーカー提供のLinuxディストリビューションに対応
CPUベンダーが標準でサポートするLinuxに対応し、アプリケーションの開発が迅速にできます。
OS間通信をサポート
メッセージ形式のAPI(RPMsg)を使って、OS間の通信を容易に実現できます。
OpenAMP仕様を採用
Multicore Associationによって標準化されたOpenAMPの仕様に対応しています。
RTOSによる高速ブート
μC3を先に起動することで高速起動ができます。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

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μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

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保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ

Zynq UltraScale+ MPSoCとμC3/Standardの導入事例

  • A社製 無線機器用測定器

など

Zynq UltraScale+ MPSoCとμC3/Standard+Mの導入事例

  • A社製 無線機器用測定器
  • S社製 インクジェットプリンタ

など