【Intel】Arria V SoC FPGAとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

Arria V SoC FPGAは、インテル製のSoC FPGAです。Arria V SoC FPGAは、Cortex-A9ベースのHPSとFPGAを搭載しており、ミッドレンジ・アプリケーション向けの高性能かつ低消費電力なデバイスです。

インテルのFPGAポートフォリオ

インテルは、FPGAの幅広い製品ポートフォリオを提供しています。

FPGA(読み方:エフピージーエー)とは

FPGAとは、「現場で書き換え可能な論理回路の多数配列」を意味する「Field Programmable Gate Array」の略で、チップの種類の一つ。名前の通りFPGAは、ユーザーが現場(Field)でプログラムを書き換えられる。数万~100万ゲート規模の論理回路がプログラム可能なため、自由度が高いのが特徴。

FPGAとは?仕組みやASICとの比較ををわかりやすく解説

インテルのFPGAポートフォリオは、以下の通りです。

  • Agilex FPGA:演算負荷が高いアプリケーション向け
  • Stratix シリーズ:高集積、高パフォーマンス
  • Arria シリーズ:ミッドレンジ・アプリケーション向け
  • Cyclone シリーズ:低消費電力、 低コストデザイン
  • MAX シリーズ:低コストで小型

Arria V SoC FPGAは、ミッドレンジ・アプリケーション向けの「Arriaシリーズ」に属します。

Arria V SoC FPGAの製品ライン

Arria V SoC FPGAの製品ラインは、以下の通りです。

  • Arria V SX SoC FPGA
  • Arria V ST SoC FPGA

Arria V SoC FPGAの仕様

デバイス すべての Arria® V SoC FPGA デバイス (SX、ST)
プロセッサー デュアルコア Arm Cortex-A9 MPCore プロセッサー (Arm CoreSight デバッグおよびトレース・テクノロジー搭載)

  • 1.05 GHz CPU クロックレート (-I3 スピードグレード)
  • 925 MHz CPU クロックレート (-C4 スピードグレード)
  • 800 MHz CPU クロックレート (-C5、-I5 スピードグレード)
  • 700 MHz CPU クロックレート (-C6 スピードグレード)
コプロセッサー プロセッサーごとに VFP v3 倍精度浮動小数点ユニットを搭載した Arm NEON メディア処理エンジン、スヌープ制御ユニット (SCU)、アクセラレーター・コヒーレンシー・ポート (ACP)
レベル 1 キャッシュ 32 KB L1 命令キャッシュ、32 KB L1 データキャッシュ
レベル 2 キャッシュ 512 KB 共有 L2 キャッシュ
オンチップメモリー 64 KB オンチップ RAM、64 KB オンチップ ROM
HPS ハード・メモリー・コントローラー マルチポート SDRAM コントローラー (DDR2、DDR3、DDR3L、LPDDR2、およびオプションのエラー訂正コード (ECC) をサポート)
533 MHz / 1066 Mbps 外部メモリー・インターフェイス
ユーザーによるコンフィグレーションが可能なメモリー幅 (8、16、16+ECC、32、32+EEC)
内蔵メモリー保護ユニットによる最大 4 GB のアドレス範囲
Quad SPI フラッシュ・コントローラー SPIx1、SPIx2、または SPIx4 (Quad SPI) シリアル NOR フラッシュデバイスをサポート
最大 4 つのチップセレクト
SD / SDIO / MMC コントローラー SD、eSD、SDIO、eSDIO、MMC、eMMC、および CE-ATA をサポート (DMA 内蔵)
NAND フラッシュ・コントローラー 8 ビット ONFI 1.0 NAND フラッシュデバイスをサポート
シングルレベル・セル (SLC) およびマルチレベル・セル (MLC) デバイス用プログラマブル・ハードウェア ECC
イーサネット・メディア・アクセス・コントローラー (EMAC) 2 個の 10 / 100 / 1000 EMAC (RGMII 外部 PHY インターフェイスおよび内蔵 DMA)
USB On-The-Go (OTG) コントローラー 2 個の USB 2.0 OTG コントローラー (ULPI 外部 PHY インターフェイスおよび内蔵 DMA)
UART コントローラー 2 個の 16550 互換 UART
SPI コントローラー 2 個の SPI マスター
2 個の SPI スレーブ
I2C コントローラー 4 個の I2C
汎用 I/O (GPIO) デジタルデバウンスおよびコンフィグレーション可能な割り込みモードを備えた最大 71 個の GPIO および 14 個の入力専用ピン
DMA コントローラー 8 チャネル DMA
31 個のペリフェラル・ハンドシェイク・インターフェイスによるフロー制御をサポート
タイマー 各プロセッサー専用のインターバル・タイマーおよびウォッチドッグ・タイマー
プロセッサー・サブシステム用グローバルタイマー
4 個の汎用タイマー
2 個のウォッチドッグ・タイマー
最大 HPS I/O 数 208
HPS フェーズ・ロック・ループ (PLL) 数 3

出典:Arria V SoC FPGA

Arria V SoC FPGAとは

Arria® V SoC FPGA は、業界トップクラスの性能を備えた 28 nm SoC FPGA です。リモート無線ユニット、10G / 40G ラインカード、医療用画像処理装置、放送スタジオ機器などのミッドレンジ・アプリケーションに適した極めて低い総消費電力を実現します。デュアルコア Arm* Cortex*-A9 プロセッサー、ペリフェラル、およびメモリー・インターフェイスから成るハード・プロセッサー・システム (HPS) と、柔軟性に優れた 28 nm FPGA ファブリックの組み合わせにより、システムの消費電力、コスト、およびボードスペースを削減します。

出典:Arria V SoC FPGA

Arria V SoC FPGAのデータシートは、以下です。

Arria V SoC FPGAのデータシート

Arria V SoC FPGAはインテル製のSoC FPGA

Arria V SoC FPGAは、インテル製のSoC FPGAです。

SoC FPGAとは

SoCとFPGAをワンチップに統合した製品。CPUやペリフェラル(周辺機器)などで構成されるSoCと、プログラム可能なFPGAを統合している。

SoCやFPGAについては、以下の記事をご覧ください。

半導体のSoC(システムオンチップ)、システムLSIとは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

FPGAとは?仕組みやASICとの比較ををわかりやすく解説

Arria V SoC FPGAは、Arm Cortex-A9ベースのHPS(ハード・プロセッサ・システム)およびプログラマブル・ロジック・テクノロジーを搭載しています。

HPS(ハード・プロセッサ・システム)

ARM Cortex-A9とペリフェラルが一体となったハード・マクロ

Arria V SoC FPGAには、Cortex-A9ベースのHPSのほか、DSPブロック、FPGAロジック、高速トランシーバー、ハード・メモリー・コントローラーなどが、カスタマイズ可能なワンチップ上に搭載されています。

DSP(デジタルシグナルプロセッサ・Digital Signal Processor)とは

DSPとは、積和演算の高速な処理に特化したプロセッサのことです。主にオーディオや画像の信号処理や、モータの制御、計測、遠隔通信などの処理において使用されています。

半導体のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)とは?

このため、性能を高めながら、ボードサイズの削減を可能にしています。

Arria V SoC FPGAは、以下のアプリケーションに理想的なデバイスです。

  • リモート無線ヘッド (RRH: Remote Radio Head)
  • LTE 基地局
  • マルチファンクション・プリンター(MFP)

Arria V SoC FPGAとArria 10 SoC FPGAの互換性

Arria V SoC FPGAとArria 10 SoC FPGAは、同じCortex-A9を搭載しています。このため、Arria V SoC FPGAからArria 10 SoC FPGAへ、容易にソフトウェアを移行できます。

Arria V SoC FPGAの入手方法

Arria V SoC FPGAは、以下のインテルの販売代理店で購入できます。

Arria V SoC FPGAの開発環境

Arria V SoC FPGAに対応した代表的な開発環境は、以下のとおりです。

  • インテル® Quartus® Prime 開発ソフトウェア
  • インテル® SoC FPGA エンベデッド開発スイート

Arria V SoC FPGAの評価ボード

Arria V SoC FPGAの評価ボードは、下記の通りです。

ボード 特徴 対象 データシート
Arria V SoC FPGA 開発キット 各種 I/O およびインターフェイス規格に対応した特定用途向けドーターカードが別途用意 機能の拡張・カスタマイズをしながら評価・開発したい方 Arria V SoC FPGA 開発キットのデータシート

Arria V SoC FPGA 開発キット

Arria V SoC FPGA 開発キットは、Arria V SoC FPGAデバイスの機能と性能の評価が可能な開発キットです。

また、各種 I/O およびインターフェイス規格に対応した特定用途向けドーターカードが別途用意されています。

これらの特徴から、「機能の拡張・カスタマイズをしながら評価・開発したい」という方に最適の評価ボードです。

Arria V SoC FPGA 開発キットの価格と購入方法

Arria V SoC FPGAの対応OS

Arria V SoC FPGAに対応している主なOSは、以下の通りです。

  • Abassi
  • Carrier Grade Edition 7 (CGE7)
  • INTEGRITY RTOS
  • ThreadX
  • µC/OS-II
  • µC/OS-III
  • VxWorks
  • Wind River Linux
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M(弊社製品)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

マルチコアAMP拡張版RTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M」

μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのリアルタイムOSです。

μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。

ARM Cortex-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。

LinuxとRTOSの共存ソリューション「μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux」

μC3+LinuxはマルチコアCPUにLinuxとRTOSを共存させ、OS間の通信を可能にするソリューションです。

種類の異なった2つのOSを共存させることで、RTOSのリアルタイム性能とLinuxが持つ豊富なソフトウェア資産を有効に活用することができます。

Arria V SoC FPGAとμC3/Standardの導入事例

  • 電子計測器メーカー製 無線LAN測定器