FM3とは、サイプレス セミコンダクタ(以下、「サイプレス」)のマイクロコントローラです。FM3シリーズは、Arm Cortex-M3 コアを搭載しています。幅広いラインアップが含まれており、ハイパフォーマンスから超低リークまで選択できます。
FM3の製品ライン
FM3のマイコンは、下記の4種類に大別されます。
- ハイパフォーマンス
- ベーシック
- 低電力
- 超低リーク
詳しい製品ラインアップは、下記の通りです。
ハイパフォーマンス | CY9Bx10T |
CY9Bx10R | |
ベーシック | CY9Bx20M |
CY9Bx20J | |
CY9Bx20T | |
CY9Ax10A | |
CY9Ax10K | |
CY9Ax20L | |
低電力 | CY9Ax5xR |
CY9Ax4xN | |
超低リーク | CY9AxAxN |
CY9Ax3xL |
FM3の仕様
ハイパフォーマンス | ベーシック | 低電力 | 超低リーク | |
---|---|---|---|---|
周波数(MHz) | 144 | 72 | 40 | 20 |
Operating Volatge (V) | 2.7-5.5 | 2.7-5.5 | 1.65-3.6 | 1.8-5.5 |
Flash/SRAM(KB) | 1024/128 | 1536/192 | 512/64 | 128/16 |
Operating Volatge (V) | 2.7-5.5 | 2.7-5.5 | 1.65-3.6 | 1.8-5.5 |
GPIO | 154 | 154 | 103 | 84 |
Base Timer | 16 | 8 | 16 | 8 |
MFT | 3 | 2 | 1 | 1 |
Dual Timer | 1 | 1 | 1 | 1 |
QPRC | 3 | 2 | 2 | – |
Watch Counter | 1 | 1 | 1 | – |
RTC | あり | あり | あり | あり |
MFS | 8 | 16 | 16 | 8 |
USB | 2 | 1 | – | – |
CAN | 2 | 1 | – | – |
Ether-MAC | 2 | – | – | – |
HDMI-CEC | – | 2 | 2 | 2 |
DMAC | 8 | 8 | 8 | – |
ADC | 32 | 26 | 24 | 16 |
DAC | – | 2 | – | 2 |
CRC | あり | あり | あり | – |
LCDC | – | – | 44SEG x 4COM or 40SEG x 8COM (Max) | 44SEG x 4COM or 40SEG x 8COM (Max) |
データシート | CY9Bx10Tのデータシート | CY9Bx20Mのデータシート | CY9Ax5xRのデータシート | CY9AxAxNのデータシート |
出典:FM3 32-bit Arm® Cortex®-M3 Microcontroller (MCU) Families
FM3とは
FM3シリーズの特徴
FM3はArm Cortex-M3 コアを搭載した32ビットマイコンです。FM3のポートフォリオは、全て同じペリフェラル(周辺機器)・CPUアーキテクチャを備えた一般的なSoC設計です。このため、ソフトウェアに互換性があります。
SoC(読み方:エスオーシー)とは
SoC(読み方:エスオーシー)とは、異なる機能を持つ複数のLSIを一つの集積回路に集約したもの。全体として一つのシステムとして機能するよう設計されているため、「システムオンチップ」を略し、「SoC」と呼ばれる。SoCは、システムLSIとも呼ばれる。
また、FM3はハイパフォーマンスから超低リークまでのラインアップを用意しており、幅広い用途に対応しています。
FM3シリーズの機能
FM3シリーズの詳しい機能は下記のとおりです。
FM3シリーズの特徴
- 卓越したパフォーマンス
- 堅牢性
- 高度な周辺機器
出典:FM3 32-bit Arm® Cortex®-M3 Microcontroller (MCU) Families
FM3の製品ライン別の特徴
4種類のFM3の製品ライン
すでに述べたとおり、FM3のマイコンは、下記の4種類のグループに大別されます。
- ハイパフォーマンス
- ベーシック
- 低電力
- 超低リーク
以下、これらのグループについて簡単に解説します。
ハイパフォーマンスグループの特徴
ハイパフォーマンスグループは、FM3シリーズのうち、最も高性能なデバイス群です。
ハイパフォーマンスグループ
- CY9Bx10T
- CY9Bx10R
Cortex-M3を搭載し、最大144MHzで動作します。また、最大1MBのフラッシュ、16KBのワークフラッシュアクセラレータ、128KBのSRAMを搭載しています。
ベーシックグループの特徴
ベーシックグループは、FM3シリーズのうち、高性能なデバイス群です。
ベーシックグループ
- CY9Bx20M
- CY9Bx20J
- CY9Bx20T
- CY9Ax10A
- CY9Ax10K
- CY9Ax20L
Cortex-M3を搭載し、最大72MHzで動作します。また、最大1.5KBのフラッシュ、最大192KBのSRAMを搭載しています。
低電力グループの特徴
低電力グループは、FM3シリーズのうち、低電力なデバイス群です。
低電力グループ
- CY9Ax5xR
- CY9Ax4xN
Cortex-M3を搭載し、最大40MHzで動作します。また、最大512KBのフラッシュ、最大64KBのSRAMを搭載しています。
超低リークの特徴
超低リークは、FM3シリーズのうち、最も低電力なデバイス群です。
超低リーク
- CY9AxAxN
- CY9Ax3xL
Cortex-M3を搭載し、最大20MHzで動作します。また、最大128KBのフラッシュ、最大16KBのSRAMを搭載しています。
FM3シリーズの使い方(アプリケーション)
FM3シリーズは、以下のアプリケーションに適しています。
- モーター制御
- ファクトリーオートメーション(FA)
- 白物家電などの家電製品
- 電動工具
- 医療機器
- デジタルコンシューマーデバイス
- オフィスオートメーション機器
FM3シリーズの入手方法
FM3シリーズのマイコンは、下記のサイプレスのセールスオフィスや、サイプレスの正規販売店などで購入できます。
FM3シリーズの開発環境
FM3に対応した代表的な開発環境は、下記の通りです。
- IAR Embedded Workbench for Arm
- Arm Keil MDK
- iSYSTEM winIDEA
FM3シリーズ評価ボード
FM3の代表的な評価ボードは、下記の通りです。いずれも、FM3を素早く簡単に評価できます。
搭載マイコン | 特徴 | 対象 | データシート | |
---|---|---|---|---|
FM3-80PMC-MB9BF524M | CY9B120M、CY9B320M、CY9B520M | 開発に必要なツール、サンプルが含まれている | すぐに評価・開発をスタートしたい | FM3-80PMC-MB9BF524Mのデータシート |
FM3-100PMC-MB9BF516N | CY9B110、CY9B310、CY9B410、CY9B510 | 開発に必要なツール、サンプルが含まれている | すぐに評価・開発をスタートしたい | FM3-100PMC-MB9BF516Nのデータシート |
FM3-80PMC-MB9BF524M
FM3-80PMC-MB9BF524Mは、CY9B120M、CY9B320M、CY9B520Mの多機能評価ボードです。
FM3-80PMC-MB9BF524Mは、開発に必要なツール、サンプルが含まれています。このため、「すぐに評価・開発をスタートしたい」という方に最適な評価ボードです。
FM3-100PMC-MB9BF516N
FM3-100PMC-MB9BF516Nは、CY9B110、CY9B310、CY9B410、CY9B510の多機能評価ボードです。
FM3-100PMC-MB9BF516Nは、開発に必要なツール、サンプルが含まれています。このため、「すぐに評価・開発をスタートしたい」という方に最適な評価ボードです。
FM3シリーズの対応OS
FM3に対応している主なOSは、下記の通りです。
- μT-Kernel
- ThreadX
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。
μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。
- 小さいフットプリント
- マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
- μC3/Configurator付属
- 選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
- 豊富なCPUサポート
- 業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
- 省電力対応
- デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。
詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。
μC3のライセンスの種類・詳細
ライセンスの種類
ライセンスの種類は3つあります。
- 研究開発用プロジェクトライセンス
- 開発量産用プロジェクトライセンス
- プラットフォームライセンス
研究開発用プロジェクトライセンス
研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。
研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。
有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。
開発量産用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。
有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。
プラットフォームライセンス
プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。
※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。
お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。
ポイント
- 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
- 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
- プラットフォームライセンス :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
ライセンスの詳細
- ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
- 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
- 提供形態 :ソースコード
- 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
- 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
- μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています
ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。
保守について
製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。
また、年間保守費用は製品定価の40%になります。
無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)
*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。
保守サービスには以下が含まれています。
- メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
- 製品の無償バージョンアップ
FM3とμC3/Compactの導入事例
- プリンタコントローラLSIメーカー製 通信モジュール
- 無線通信メーカー製 中小型船舶向けレーダー
- 無線通信メーカー製 航海支援装置
- 絶縁監視装置、地絡保護装置メーカー製 絶縁監視装置
- SIer製 施設園芸SaaS施設環境制御BOXファームウェア