i.MX6 SoloXとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

i.MX6 SoloXは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)のプロセッサです。i.MX6 SoloXは、最大1GHzで動作するCortex-A9コアと200MHzで動作するCortex-M4コアと搭載したマルチコアプロセッサです。

i.MX6 SoloXの仕様

KCIMX6X1 MCIMX6X1 MCIMX6X2 MCIMX6X3 MCIMX6X4
Package Type LFBGA400 LFBGA400 LFBGA400 LFBGA400 LFBGA529
Package Pitch (mm)[MAX] 0.65 0.65 0.8 0.8 0.8
Core: Number of cores (SPEC) 1 1 1 1 1
Core Type Arm Cortex-A9 Arm Cortex-A9 Arm Cortex-A9 Arm Cortex-A9 Arm Cortex-A9
Co Processor Frequency (MAX) (MHz) 200 200 200 200 200
Co Processor Type Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F Arm Cortex-M4F
Operating Frequency [Max] (MHz) 800 800 800 1000 800
External Memory Supported[Max] DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2, QSPI DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2, QSPI
Video/Display features[Max] PCP, RGB PCP, RGB PCP, RGB PCP, RGB LVDS, PCP, RGB
PCIe(MAX) 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0
L2 Cache (Max) (KB) 256 256 256 256 256
SRAM (kB) 128 128 128 128 128
SPI 5 5 5 5 5
I2C 4 4 4 4 4
UART 6 6 6 6 6
USB Controllers 6 6 3 3 3
Junction Temperature (Min) (℃) -40 -40 -40 -40 -40
Junction Temperature (Max) (℃) 105 125 125 105 125
Audio Specific Modules[Max] AA, ESAI AA, ESAI AA, ESAI AA, ESAI AA, ESAI
GPU 2D / GPU 3D Vivante GC300 (300Mpx/s), Vivante GC400T (17Mtri/s) Vivante GC300 (300Mpx/s), Vivante GC400T (17Mtri/s)

出典:i.MX6SX

i.MX6 SoloXとは

i.MXシリーズとは

i.MXシリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの特徴は、ARMコアを搭載し、低消費電力であることです。

i.MXシリーズのラインアップ

i.MXシリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX RTシリーズ:産業用IoTアプリケーション向け
  • i.MX 6シリーズ :自動車、産業用アプリケーション向け
  • i.MX 7シリーズ :ポータブルIoTアプリケーション向け
  • i.MX 8シリーズ :グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向け
  • i.MX28     :自動車、産業用アプリケーションの電源管理および接続機能向け

i.MX6 SoloXは、自動車、産業用アプリケーション向けの「i.MX 6シリーズ 」に属します。

i.MX 6シリーズとは

i.MX 6シリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの中でも、Cortex-A9、Cortex-A9+M4、Cortex-A7を搭載し、自動車、産業用アプリケーション向けに特化しています。その他、医療機器や特定市場向けメディア・タブレットなどにも採用されています。

i.MX 6シリーズは、シングルコア、デュアルコア、クアッドコアの製品を展開しています。

シングルコアとは

シングルコアとは、コアを1つだけ内蔵したプロセッサのこと。シングルコアは、通常マルチコアと対比する文脈において使われる言葉。

デュアルコア・クアッドコアとは

コアを複数搭載したマルチコアのうち、コアを2つ搭載したものをデュアルコア、コアを4つ搭載したものをクアッドコアと言う。

i.MX 6シリーズは、製品間でソフトウェア互換性やピン互換性を備えています。

i.MX 6シリーズのラインアップ

i.MX 6シリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX 6ULZ:超低コスト
  • i.MX 6ULL:コスト最適化
  • i.MX 6UltraLite:効率的で安全
  • i.MX 6SLL:効率的なマルチメディア
  • i.MX 6SoloLite:マルチメディア/電子リーダー
  • i.MX 6SoloX:安全な処理
  • i.MX 6Solo:マルチメディア
  • i.MX 6DualLite:3Dグラフィック
  • i.MX 6Dual:高度な3Dグラフィック
  • i.MX 6DualPlus:エクストリーム3Dグラフィックス
  • i.MX 6Quad:ハイパフォーマンス
  • i.MX 6QuadPlus:究極のパフォーマンス

この記事では、安全な処理に適した「i.MX 6SoloX」を紹介します。

i.MX6 SoloXとは

i.MX 6SoloXファミリは、最大1GHzで動作するCortex-A9コアと200MHzで動作するCortex-M4コアに256KBのL2キャッシュを搭載し、32ビットのDDR3/LPDDR2を利用することができます。LVDS、FlexCAN、およびPCI Expressを統合するi.MX 6SoloXはリアルタイム処理と高度なシステムインテグレーションにより、民生、車載、および産業用アプリケーション向けの低消費電力で柔軟性に優れたプラットフォームです。

出典:i.MX 6シリーズ アプリケーション・プロセッサ

i.MX6 SoloXは、Cortex-A9コアとCortex-M4コアを搭載した、マルチコアプロセッサです。

マルチコアとは

マルチコアとは、1つのCPUの中に複数のCPUコアを内蔵する技術のこと。マルチコアのプロセッサは、複数の処理を並列しておこなうことで、シングルコアに比べ高い処理能力を実現している。コアを2つ搭載したものをデュアルコア、4つ搭載したものをクアッドコアと言う。

組み込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説

周辺機器として、LVDS、FlexCANや、高速インターフェースであるPCI Expressを内蔵しています。

このためi.MX6 SoloXは、リアルタイム応答性に加え、高いレベルのシステムの完全性を必要とする車載、産業アプリケーションに適しています。

i.MX 6SoloXのセキュリティサポート

i.MX 6SoloXは、i.MX 6Soloと同様、以下のセキュリティサポートがあります。

  • 高信頼ブーティング(HAB)
  • 暗号エンジン
  • 乱数発生器
  • 改ざん検出

原文は、以下の通りです。

  • High Assurance Boot
  • Cryptographic cipher engines
  • Random number generator
  • Tamper detection

出典:i.MX6SX

これらに加えリソースドメインコントローラー(RDC)や、ハードウェアセマフォ機能を搭載しています。

リソースドメインコントローラー(RDC)は、CPUごとに統合されており、安全なリソース共有を確保や分離を行います。

ハードウェアセマフォは、ハードウェアで実行されるセマフォです。

セマフォとは

セマフォとは、同一の資源に対して複数のタスクから同時にアクセスした際、不具合が生じないよう同時アクセスを禁止するために使う仕組みのこと。この同時アクセスを禁止することを、排他制御と呼ぶ。

セマフォは多くの場合、ソフトウェアで実行されますが、i.MX6 SoloXは、ハードウェアで実行しています。i.MX6 SoloXは、異なるコアを搭載しているため、ソフトウェアではなく、ハードウェアでセマフォを実行します。これにより、ソフトウェアで実行するよりも安全に処理できます。

上記のように、i.MX6 SoloXは、高い安全性を持ったデバイスと言えます。

i.MX6 SoloXの入手方法

i.MX 6SoloXは、NXP社の正規販売店や下記のオンラインショップなどで購入できます。

i.MX 6SoloXの開発環境

i.MX6 SoloXに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • DS-MDK

i.MX6 SoloX評価ボード

i.MX6 SoloXの評価ボードは、以下の通りです。

特徴 対象 データシート
SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6SoloX Applications Processors マルチコア処理、低消費電力を可能にし、マルチメディアやグラフィックスアプリケーションの開発が可能 現在生産されている評価ボードは本製品のみ SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6Quad Applications Processorsのデータシート

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6SoloX Applications Processors

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6SoloX Applications Processorsは、スマートデバイスの開発が可能なボードです。

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6SoloX Applications Processorsは、マルチコア処理、低消費電力を可能にし、マルチメディアやグラフィックスアプリケーションの開発が可能です。

これらの特長からSABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6SoloX Applications Processorsは、「 i.MX 6SoloXでスマートデバイスを開発したい」という方に最適の評価ボードです。

SABRE Board for Smart Devices Based on the i.MX 6SoloX Applications Processorsの価格や購入場所

i.MX 6SoloXの対応OS

i.MX 6SoloXに対応している主なOSは、以下の通りです。

  • Linux
  • FreeRTOS
  • MQX
  • SCIOPTA
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

32/64bitの高性能プロセッサに最適化
割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
豊富なプロセッサ・サポート
業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
マルチコア対応
組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
豊富なデバイスドライバを用意
I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

資料ダウンロード(無料)

保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ

i.MX 6SoloXとμC3/Standardの導入事例

  • 測定器及び自動搬送機メーカー製 半導体テスタ用制御ユニット