【NXP】i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

i.MX6ULは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)のプロセッサです。i.MX6ULは、Cortex-A7を搭載し、最高696 MHzの速度で動作します。高性能ながら、効率的な電力消費を行います。

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の仕様

MCIMX6G0 MCIMX6G1 MCIMX6G2 MCIMX6G3
Marketing Description i.MX 32-bit MPU, ARM Cortex-A7 core, 500MHz, 289BGA i.MX 32-bit MPU, ARM Cortex-A7 core, 700MHz, 289BGA i.MX 32-bit MPU, ARM Cortex-A7 core, 500MHz, 289BGA i.MX 32-bit MPU, ARM Cortex-A7 core, 500MHz, 272BGA
Package Type LFBGA289 LFBGA289 LFBGA272、LFBGA289 LFBGA272、LFBGA289
Core Type Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7 Arm Cortex-A7
Operating Frequency [Max] (MHz) 528 696 696 528
External Memory Supported DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, LPDDR2 DRAM DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, LPDDR2 DRAM DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, LPDDR2 DRAM DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, LPDDR2 DRAM
Video/Display features PCP, RGB PCP, RGB
L2 Cache (Max) (KB) 128 128 128
SRAM (kB) 128 128 128 128
SPI 2 4 4 4
UART 4 8 8 8
USB Controllers 1 2 2 2
Junction Temperature (Min) (℃) 0 -40 -40 -40
Junction Temperature (Max) (℃) 95 125 125 105
Audio Specific Modules SPDIF SPDIF SPDIF SPDIF

出典:i.MX6UL

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)とは

i.MXシリーズとは

i.MXシリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの特徴は、ARMコアを搭載し、低消費電力であることです。

i.MXシリーズのラインアップ

i.MXシリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX RTシリーズ:産業用IoTアプリケーション向け
  • i.MX 6シリーズ :自動車、産業用アプリケーション向け
  • i.MX 7シリーズ :ポータブルIoTアプリケーション向け
  • i.MX 8シリーズ :グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向け
  • i.MX28     :自動車、産業用アプリケーションの電源管理および接続機能向け

i.MX6ULは、自動車、産業用アプリケーション向けの「i.MX 6シリーズ 」に属します。

i.MX 6シリーズとは

i.MX 6シリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの中でも、Cortex-A9、Cortex-A9+M4、Cortex-A7を搭載し、自動車、産業用アプリケーション向けに特化しています。その他、医療機器や特定市場向けメディア・タブレットなどにも採用されています。

i.MX 6シリーズは、シングルコア、デュアルコア、クアッドコアの製品を展開しています。

シングルコアとは

「シングルコア」とは、1つのプロセッサの中にコアが1つ内蔵する技術。1つのプロセッサの中にコアが複数入っている「マルチコア」との対比で使用されることが多い。また、シングルコアのプロセッサは「シングルコアプロセッサ」と呼ばれている。

デュアルコア・クアッドコアとは

コアを複数搭載したマルチコアのうち、コアを2つ搭載したものをデュアルコア、コアを4つ搭載したものをクアッドコアと言う。

組込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説

i.MX 6シリーズは、製品間でソフトウェア互換性やピン互換性を備えています。

i.MX 6シリーズのラインアップ

i.MX 6シリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX 6ULZ:超低コスト
  • i.MX 6ULL:コスト最適化
  • i.MX 6UltraLite:効率的で安全
  • i.MX 6SLL:効率的なマルチメディア
  • i.MX 6SoloLite:マルチメディア/電子リーダー
  • i.MX 6SoloX:安全な処理
  • i.MX 6Solo:マルチメディア
  • i.MX 6DualLite:3Dグラフィック
  • i.MX 6Dual:高度な3Dグラフィック
  • i.MX 6DualPlus:エクストリーム3Dグラフィックス
  • i.MX 6Quad:ハイパフォーマンス
  • i.MX 6QuadPlus:究極のパフォーマンス

この記事では、効率的で安全な「i.MX 6UltraLite」を紹介します。

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)とは

i.MX 6シリーズを拡張したi.MX 6UltraLiteは、最高696 MHzの速度で動作するシングルArm®Cortex®-A7コアの高度な実装を特徴とする、高性能で超効率的なプロセッサーファミリーです。 i.MX 6UltraLiteアプリケーションプロセッサには、外部電源の複雑さを軽減し、電源シーケンスを簡素化する統合電源管理モジュールが含まれています。本ファミリの各プロセッサは、WLAN、Bluetooth™, GPS、ディスプレイやカメラセンサーなどの周辺機器を接続するために、16ビット LPDDR2、DDR3、DDR3L、ロー(Raw)およびマネージド(Managed)NANDフラッシュ、NORフラッシュ、eMMC、Quad SPIやその他のI/Fを含む様々なメモリI/Fを提供します。

原文は、以下の通りです。

Expanding the i.MX 6 series, the i.MX 6UltraLite is a high performance, ultra-efficient processor family featuring an advanced implementation of a single Arm® Cortex®-A7 core, which operates at speeds up to 696 MHz. The i.MX 6UltraLite applications processor includes an integrated power management module that reduces the complexity of external power supply and simplifies power sequencing. Each processor in this family provides various memory interfaces, including 16-bit LPDDR2, DDR3, DDR3L, raw and managed NAND flash, NOR flash, eMMC, Quad SPI and a wide range of other interfaces for connecting peripherals such as WLAN, Bluetooth™, GPS, displays and camera sensors.

出典:i.MX6UL

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)は、Cortex-A7を搭載したプロセッサです。i.MX 6UltraLiteは、最高696 MHzの速度で動作します。高性能ながら、効率的な電力消費を行います。

またi.MX6UL(i.MX 6UltraLite)は、高性能なプロセッサでありながら、マイコン感覚で手軽に高性能が得られます。

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の電力消費

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)は、統合電源管理モジュールを搭載しています。これによりi.MX6UL(i.MX 6UltraLite)は、外部電源の複雑さを軽減し、電源シーケンシングを簡素化し、電力消費を抑えます。

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)はマイコン感覚で扱える

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)は、前述の通り最高696 MHzで動作します。このため、フラッシュ内蔵マイコンや、旧世代のプロセッサを使ってきたユーザーでも、容易に扱える仕様となっています。

ポイント
  • 外部電源の複雑さを軽減し、電源シーケンシングを簡素化するため低消費電力
  • フラッシュ内蔵マイコンや、旧世代のプロセッサを使ってきたユーザーでも、マイコン感覚で容易に扱える仕様

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の入手方法

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)は、NXP社の正規販売店で購入できます。

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の開発環境

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)に対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • Arm Keil MDK
  • IAR Embedded Workbench for ARM

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の評価ボード

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の評価ボードは、以下の通りです。

搭載マイコン 特徴 対象 データシート
i.MX6UltraLite Evaluation Kit i.MX 6UltraLite LCDディスプレイやオーディオ再生などの接続オプション LCDディスプレイやオーディオ再生などの接続オプションを中心に評価したい
iW-Rainbow-G18D-SOD MCIMX6G0, MCIMX6G1, MCIMX6G2, MCIMX6G3 アイウェーブ社製のSOM「i.MX6UL SODIMM」を搭載 将来的にi.MX6UL SODIMMを使用して製品化したい iW-Rainbow-G18D-SODのデータシート

i.MX6UltraLite Evaluation Kit

i.MX6UltraLite Evaluation Kitは、NXP社純正の評価ボードです。i.MX6UltraLite Evaluation Kitは、LCDディスプレイやオーディオ再生などの接続オプションを可能にします。

これらの特徴からi.MX6UltraLite Evaluation Kitは、「LCDディスプレイやオーディオ再生などの接続オプションを中心に評価したい」という方に最適の評価ボードです。

i.MX6UltraLite Evaluation Kitの価格や購入場所

iW-Rainbow-G18D-SOD

iW-Rainbow-G18D-SODは、アイウェーブ社製の評価ボードです。iW-Rainbow-G18D-SODは、アイウェーブ社製のSoMである、「i.MX6UL SODIMM」を搭載しています。

SoM(読み方:エスオーエム)とは

SoMとは、システム・オン・モジュールの略。SOMとは、CPUやメモリなどが一体になったボードを指す。

これらの特徴からiW-Rainbow-G18D-SODは、「将来的にi.MX6UL SODIMMを使用して製品化したい」という方に最適の評価ボードです。

iW-Rainbow-G18D-SODの価格や購入場所

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)の対応OS

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)に対応している主なOSは、以下の通りです。

  • Linux
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

i.MX6UL(i.MX 6UltraLite)とμC3/Standardの導入事例

  • 医療機器メーカー製 生理検査機器
  • 電話機器、情報通信機器メーカー製 光学スキャナ