リアルタイムクロック(RTC・Real Time Clock)とは?仕組み、意味、特徴をわかりやすく解説

リアルタイムクロックとは、年月日や曜日などの時刻を保持する機能を持つ部品や回路です。RTC(読み方:アールティーシー)とも言います。リアルタイムクロックは、組込み機器の中でも主にカレンダー機能を持つものに使用されます。

リアルタイムクロック(RTC)の使い方

機器本体の電源がオフでも時刻機能を維持する

リアルタイムクロックは、組込みシステム本体から独立して時刻機能を維持するために使われます。このため、組込みシステム本体とは異なるバックアップ用の電源などに接続する、という特徴があります。

停電しても時刻がリセットされないのはRTCのおかげ

家電などの組込み機器は、使用していない時にハードウェアそのものの電源をオフにすることがあります。また、落雷等の自然災害による停電やブレーカーが落ちた場合など、使用者が意図せずに電源がオフになることもあります。

このように機器本体の電源がオフになっていても、時刻機能は、次の理由により、機能していなければなりません

電源オフでも時刻機能が必要な理由
  • 正確な時刻表示を続けるため。
  • タイマーなどの時刻に連動した機能をそのまま使えるようにするため。

(もちろん、こうした理由がない場合は、リアルタイムクロックは不要です)

リアルタイムクロックは、組込みシステムとは別の電源やバックアップなどに繋げることで、システムの電源が切られていても時刻を刻み続けることができます

これに対し、OSが持つ時刻機能は、電源をシャットダウンすると時刻情報が失われてしまうのが特徴です。

ポイント
  • リアルタイムクロック(RTC)は、機器本体の電源がオフでも時刻機能を維持する
  • これに対しOSが持つ時刻機能は、電源をシャットダウンすると時刻情報が失われる

リアルタイムクロック(RTC)の仕組み

では、リアルタイムクロックは、どのようにして正確な時刻を保持しているのでしょうか。
精度の高い時刻を保持するため、リアルタイムクロックには、水晶発振器が内蔵されています。

水晶発振器とは

水晶発振器は、水晶振動子とそれを発振させるための回路をワンパッケージ化したもの。

水晶振動子とは

水晶振動子は、一定の周波数を生み出す素子。水晶の持つ圧電現象を利用して、高い精度の周波数の発振を起こしている。水晶振動子それ単体では周波数を出力できないため、水晶発振器として使用されることが多い。

圧電現象とは

特定の結晶軸方向に圧力を加えると、電位を生成する現象。逆に、電圧をかけると振動が発生することを逆圧電現象という。これらの振動は、周波数を発生させる。圧電現象は水晶をはじめとする結晶材料が持つ性質だが、振動の安定性においては水晶が一番高い。

リアルタイムクロックに内蔵された水晶発振動子は、正確な周波数を発生しています。このようにしてリアルタイムクロックは、無調整で高い精度の時刻を保持しています。

これらの水晶発振器を駆動させるために、リアルタイムクロックには、電源が必要となります。

ポイント
  • リアルタイムクロック(RTC)の時刻は、水晶発振動子によって保持されている

リアルタイムクロック(RTC)は低消費電力

リアルタイムクロックは、OSが持つタイマー機能に比べ、低消費電力です。水晶振動子を振動させるだけなので、そもそもあまり電力を必要としません。このため、ハードウェアの電源をオフにした際にリアルタイムクロックが駆動していても、問題ないのです。

更に消費電力を抑えるために、自動利得制御(AGC)回路を内蔵しているリアルタイムクロックもあります。

自動利得制御(AGC)とは

アンテナから受信した電波の強さに応じて、電機の出力レベルを一定に保つ回路のこと。自動利得制御を意味するAutomatic Gain Controlを略し、AGCとも呼ばれる。

リアルタイムクロック(RTC)が使用される組込み機器の具体例

リアルタイムクロック(RTC)が実際に使用される主な組込み機器は、下記の通りです。

機器 機能
ゲーム機 現実の時間や時期に合わせたイベントを発生させる。
パチンコ 特定の時間になると演出を作動させる。
電話、FAX、スマートフォン、インターホン カレンダーや時刻を表示したり、時刻表示のバックアップを行う
炊飯器 タイマー機能