有線LAN規格のイーサネット(Ethernet)とは?種類・意味・定義を入門者向けにわかりやすく解説

イーサネットとは、有線LANの通信規格の一つです。イーサネットを使用すると、コンピューターや通信機器を接続し、ネットワークを利用できます。イーサネットは、企業のオフィス内ネットワークや家庭内のネットワーク接続に広く用いられている標準規格です。

有線LANの規格イーサネット

コンピューターや通信機器を接続するネットワークは、有線LAN無線LANの2つに大別されます。このうち、有線LANの標準規格として使用されているのがイーサネットです。イーサネットは、企業のオフィス内ネットワークや家庭内のネットワーク接続に広く用いられています。ケーブルを使用するため電波干渉の影響を受けにくく、安定した通信速度を得られます。

イーサネット豆知識

1970年代、アメリカのXerox社によって開発されたイーサネットの語源は、かつて物理学において光の媒介であると考えられていた「エーテル(Ether)」です。宇宙空間のいたるところにあると考えられていたエーテルのように、「どこにでも、あらゆるところに存在し、情報を伝える媒介になるもの」と願って付けられました。

無線LANの標準規格「Wi-Fi」(読み方:ワイファイ)

有線LANの標準規格として使用されているのがイーサネットの一方で、無線LANの代表規格となっているのが「Wi-Fi」です。

Wi-Fiは、有線LANとは異なり、ケーブルなしで機器同士をネットワーク接続できます。このため、配線がすっきりするのが特徴です。

Wi-Fiルーターを設置した建物はもちろん、モバイルWi-Fiルーターを持ち運べば、外出先でもネットワークに接続できます。

近年では、ショッピングモールやカフェなど、人が集まりやすい場所に公衆Wi-Fiが設置されている場合もあります。

上記のように便利なWi-Fiですが、デメリットもあります。Wi-Fiは、有線LANと比較すると、電波の影響により通信の安定性に影響を及ぼします。通信が遅い・途切れるなど、不安定になることがあります。

また、セキュリティに関するリスクもあります。Wi-Fiは、電波を使用するため、集合住宅などでは、近隣の人にWi-Fiを使用されてしまうリスクもあります。パスワードは複雑なものに設定した上で、保護を徹底することが大切になります。

有線LANと無線LANの速度については、従来は有線LANの方が通信速度が高かったのですが、2016年には、無線LANが有線LANを上回りました。

有線LANと無線LANの違い・比較表

以上のことから、有線LANと無線LANの違いを纏めると、以下になります。

有線LAN 無線LAN
配線 不要
回線の安定性
外出先での使用 不可能 ポケットWi-Fiであれば可能
セキュリティのリスク
速さ(速度) 速い 高速

産業用イーサネットとは

組み込み業界で使用されているイーサネットとして「産業用イーサネット」があります。

産業用イーサネット

産業用イーサネットとは、イーサネットのうち、産業向けに使用されているもののこと。産業用イーサネットは、工場内のネットワークで使用されている。

産業用イーサネット(Ethernet)とは?種類・意味・定義を入門者向けにわかりやすく解説

産業用イーサネットは、オフィスなどで使用される標準的なイーサネットよりも、高い堅牢性、リアルタイム性能を備えています。

従来、産業向けネットワークは、イーサネットではなく、シリアル通信を用いたフィールドバスが主流でした。

フィールドバス

工場などで稼働している機器とコントローラーのやり取りで繋げる通信規格のこと。フィールドネットワークとも言う。

シリアル通信

1本の信号線や回線を使いデータを1ビットずつ順番に送信する方式のこと。シリアル通信を実現するインターフェース(接続部分)をシリアルインターフェースと言う。

シリアル通信・シリアルインターフェースとは?種類・仕組み・定義をわかりやすく解説

しかし、近年はイーサネットの普及に伴い、イーサネットベースの機器が増加したことから、産業用ネットワークが市場シェアを拡大しています。

ポイント
  • 産業用イーサネットとは、イーサネットのうち、産業向けに使用されているもののこと
  • イーサネットの普及に伴い、イーサネットベースの機器が増加したことから、産業用ネットワークが市場シェアを拡大している