FM4とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

FM4とは、サイプレス セミコンダクタ(以下、「サイプレス」)のマイクロコントローラです。FM4シリーズは、Arm​ Cortex-M4 コアを搭載しています。

FM4の製品ライン

  • S6E2C
  • S6E2G
  • S6E2H
  • S6E2D
  • CY9Bxx6xM/N/R
  • CY9Bx6xK/L

FM4の仕様

Series S6E2C S6E2G S6E2H S6E2D CY9Bxx6xM/N/R CY9Bx6xK/L
周波数(MHz) 200 180 160 160 160 160
Flash/SRAM(KB) 2048/256 1024/196 512/64 384/72 1024/128 512/64
Work Flash (KB) 32 32 32
GPIO 190 153 100 176 100 51
Base Timer 16 16 8 8 8 8
MFT 3 2 3 1 2 2
QPRC 4 2 3 1 2 1
MFS 16 10 8 8 8 6
USB 2 2 1 1 1
CAN 3 1 2 1 2 1
Ether-MAC 1 1
DMA/DSTC 8/256 8/256 8/256 8/128 8/128 8/128
ADC 32 32 24 24 24 15
DAC 2 2 2 2
SD Card Interface 1 1 1 1 1
I2S 1 1 1
データシート S6E2Cのデータシート S6E2Gのデータシート S6E2Hのデータシート S6E2Dのデータシート CY9Bxx6xM/N/Rのデータシート CY9Bx6xK/Lのデータシート

出典:FM4 32-bit Arm® Cortex®-M4 Microcontroller (MCU) Families

FM4とは

FM4シリーズの特徴

FM4シリーズの特徴
  • Arm​ Cortex-M4 コアを搭載した32ビットマイコン
  • FPU機能とDSP機能を併せ持ち、CPUの演算処理能力を強化
  • SDRAMおよびSDカードインターフェース機能
  • 豊富なパッケージラインナップ
  • タイマ機能や通信機能

FM4は、Arm​ Cortex-M4 コアを搭載した32ビットマイコンです。FM4の特徴は、FPU機能とDSP機能を併せ持っている点です。

これらの機能により、FM4シリーズは、高性能、低消費電力化しています。

FPU(読み方:エフピーユー)とは

「浮動小数点演算装置」を意味するFloating-Point Unitの略。浮動小数点数の演算に特化した演算装置。

DSP(読み方:ディーエスピー)とは

DSP(デジタルシグナルプロセッサ・Digital Signal Processor)とは、積和演算の高速な処理に特化したプロセッサのこと。主にオーディオや画像の信号処理や、モータの制御、計測、遠隔通信などの処理において使用される。

DSP(デジタルシグナルプロセッサ・Digital Signal Processor)とは?定義・機能・特徴をわかりやすく解説

FM3など、他の一般的なマイコンは、FPUやDSP機能はありません。

これに対し、FM4は、DSPやFPUを追加し、CPUの演算処理能力を強化しています。また、SDRAMおよびSDカードインターフェース機能の追加、パッケージラインナップの拡充、タイマや通信機能の拡張を行っています。

この他、高速シリアル通信や、高機能なコンバータを搭載しているため、車載用途や産業機器向けに適しています。

ポイント
  • FM4は、DSPとFPUを併せ持った高性能・低消費電力なマイコン
  • FM4は、高速シリアル通信や、高機能なコンバータを搭載しているため、車載用途や産業機器向けのマイコン

FM4シリーズの機能

FM4シリーズの詳しい機能は下記のとおりです。

  • 最大200MHzのクロック周波数の高パフォーマンス
  • 384KBから2MBのフラッシュメモリと最大256KBのRAM
  • 内部のRC発振器は、クロック監視モジュールとウォッチドッグモジュールとして機能
  • 100,000回の書き込み/消去サイクルで、最大20年間のデータ保持が可能な高性能フラッシュメモリ
  • RTC モード時1.5µAの低消費電力
フラッシュメモリとは

フラッシュメモリは、記憶装置の1つであり、電源を切っても記憶内容が維持される、不揮発性の半導体メモリ・ROM。本来データの消去や書き込みができないROMの中でも、フラッシュメモリは例外的にデータの消去や書き込みができる。

フラッシュメモリ(フラッシュROM)とは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

出典:FM4 32-bit Arm® Cortex®-M4 Microcontroller (MCU) Families

FM4シリーズの入手方法

FM4シリーズのマイコンは、サイプレス社の販売店・代理店や以下のオンラインショップなどで購入できます。

FM4シリーズの開発環境

FM4に対応した代表的な開発環境は、下記の通りです。

  • IAR Embedded Workbench for Arm
  • Arm Keil MDK

FM4シリーズ評価ボード

FM4の代表的な評価ボードは、下記の通りです。いずれも、FM4を素早く簡単に評価できます。

搭載マイコン 特徴 対象 データシート
FM4-176L-S6E2CC-ETH S6E2C USB Standard-A-Micro-Bケーブル、クイック スタート ガイドを同梱 低コストでのハードウェア拡張を実現したい方 FM4-176L-S6E2CC-ETHのデータシート
FM4-176L-S6E2GM S6E2G USB Standard-A-Micro-Bケーブル、クイック スタート ガイドを同梱 低コストでのハードウェア拡張を実現したい方 FM4-176L-S6E2GMのデータシート
FM4-120L-S6E2HG S6E2H アプリケーション開発用に90以上のI / Oを公開、USB Standard-A-Micro-Bケーブル、クイック スタート ガイドを同梱 柔軟なプロトタイピングがしたい方 FM4-120L-S6E2HGのデータシート

FM4-176L-S6E2CC-ETH

FM4-176L-S6E2CC-ETHは、FM4 S6E2C MCUを搭載しています。

FM4-176L-S6E2CC-ETHでは、Arduino Uno互換インターフェースを使用して、低コストでのハードウェア拡張を実現できます。キットには、FM4 S6E2Cシリーズパイオニアボードの他に、USB Standard-A-Micro-Bケーブル、クイック スタート ガイドが含まれています。

FM4-176L-S6E2CC-ETHは、「低コストでのハードウェア拡張を実現したい」という方に最適な評価ボードです。

FM4-176L-S6E2CC-ETHの価格・購入場所

FM4-176L-S6E2GM

FM4-176L-S6E2GMは、FM4 S6E2G MCUを搭載しています。

FM4-176L-S6E2GMでは、Arduino Uno互換インターフェースを使用して、低コストでのハードウェア拡張を実現できます。キットには、FM4 S6E2Gシリーズパイオニアボードの他に、USB Standard-A-Micro-Bケーブル、クイック スタート ガイドが含まれています。

FM4-176L-S6E2GMは、「低コストでのハードウェア拡張を実現したい」という方に最適な評価ボードです。

FM4-176L-S6E2GMの価格・購入場所

FM4-120L-S6E2HG

FM4-120L-S6E2HGは、FM4 S6E2Hマイコンを搭載しています。

また、FM4-120L-S6E2HGは、アプリケーション開発用に90以上のI / Oを公開しています。キットには、FM4 S6E2Hシリーズパイオニアボードの他に、USB Standard-A-Micro-Bケーブル、クイック スタート ガイドが含まれています。

FM4-120L-S6E2HGは、「柔軟なプロトタイピングがしたい」という方に最適な評価ボードです。

FM4-120L-S6E2HGの価格・購入場所

FM4シリーズの対応OS

FM4に対応している主なOSは、下記の通りです。

  • embOS
  • μT-Kernel
  • ThreadX
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。

μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。

小さいフットプリント
マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
μC3/Configurator付属
選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
豊富なCPUサポート
業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
省電力対応
デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

資料ダウンロード(無料)

保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ

FM4とμC3/Compactの導入事例

  • 精密機器メーカー製 カッティングマシン
  • 電機メーカー製 蓄電池応用機器
  • 産業向け電装品製造会社製 運賃箱

など