メタバースとは?利用例メリットや今後の展望についてを紹介

近年、テレビ番組やニュースなどで「メタバース」が話題になることが増えました。2021年にはFacebook社が社名を「Meta」に変更し、記事執筆時の2023年1月時点では、日本でも多くの企業がメタバースに注目しています。

メタバースと聞くと、仮想空間でアバターを用いてコミュニケーションを楽しむイメージを思い浮かべる方も多いかもしれません。

この記事では、メタバースの利用例やメリットを紹介します。

メタバースとは?

メタバースはインターネット上に構成された仮想空間のことです。自身のアバターが、ゲーム、会話、買い物などをする仮想空間や機能をメタバースと呼びます。

参考:monoAI technology株式会社「メタバースとは?サービス事例や将来性について解説!」

メタバースが普及した理由

メタバースが注目されているきっかけはいくつかあります。

VR

リモートワークの浸透

2020年に新型コロナウィルスが拡大したことで、多くの企業がリモートワークに切り替えました。社員同士のリアルな交流ができなくなってしまったことで、オンライン上でのやりとりが増え、デジタルを介したコミュニケーションが一般化していきました。

技術の進化

VR・ARなどの視覚的技術や情報通信技術が進化したことで、よりクオリティの高いメタバースを実現できるようになりました。

コロナ禍になる前からVR市場はエンターテイメントと教育・訓練の分野でそれぞれ拡大しており、既に一般消費者もゲームや観光地での疑似体験などで取り入れていました。

このように、メタバースで利用する機器や技術が既に広がりはじめていたことも、メタバースの普及に繋がったと言えるでしょう。

参考:総務省「平成30年版 情報通信白書(第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長)」

関連技術の実用化

NFTや仮想通貨などの技術が実用化したことでも、メタバースに注目が集まっています。

NFTは「Non-Fungible Token」の略で、「代替不可能なトークン」を意味します。偽造や改ざんが難しいブロックチェーン技術によって作成される、代替できないデジタルデータです。

ブロックチェーン技術の広がりに伴い、メタバース内でNFTを作成したり仮想通貨を売買することが可能になったことで、新たな経済圏としても期待されています。

参考:株式会社ダイヤモンド社 CRYPTO INSIGHT「メタバースとは? 何ができる? 仮想通貨との関係やおすすめプラットフォームをわかりやすく解説!」
参考:monoAI technology株式会社 メタバース相談室「今話題のメタバースとNFTってなに?その関係と活用方法についてご紹介!」

メタバースのメリット

メタバースを利用するとどんなメリットがあるのでしょうか。下記で2つ紹介します。

コミュニケーションの向上

メタバースを使うことで、オンライン上でもリアルに近いコミュニケーションが可能です。

例えば、メタバース空間内に作成したバーチャルオフィスにアバターを用意し、臨場感のある会議を体験したり、実際の表情を再現したり、メンバー同士でボディーランゲージでやりとりすることもできます。

移動コストの削減

メタバースを活用したイベントには、家にいながら参加することができます。

これまで、開催地が遠い・身体的なハンデのために移動がしづらいなどの理由でイベントに参加できなかった人たちも、メタバース上のイベントであれば気軽に楽しめます。

参考:株式会社翔泳社 CreatorZine「メタバースとは?注目を集める理由とメタバースでできることを解説」

メタバースの利用例

メタバースは、市区町村と連携した取り組みや、大手企業のプロジェクトなどで、幅広く利用され始めています。

利用例1:バーチャル渋谷

バーチャル渋谷は渋谷区公認の配信プラットフォームです。定期的に、ハロウィーンのような季節イベントやスポーツ観戦イベントなどをバーチャル空間で開催しています。

また、バーチャル渋谷のスクランブル交差点に、女性に対する暴力根絶のシンボルであるパープルリボンを登場させ、被害者に対して「ひとりで悩まず、まずは相談してほしい」というメッセージを送った事例もあります。このプロジェクトでは、リアル空間の渋谷区立宮下公園とバーチャル宮下公園で同時にイルミネーション装飾がされました。

参考:渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト / KDDI株式会社「バーチャル渋谷」

利用例2:NISSAN CROSSING

日産自動車株式会社は、銀座にて運営している自動車ショールーム「NISSAN CROSSING」を仮想空間上に再現する取り組みをおこなっています。

2021年11月のリリースでは、実在のギャラリーを忠実に三次元化したこのバーチャルギャラリーで、新車発表会や講演などさまざまな発信やコンテンツ提供をしていく予定だと述べています。

出典:日産自動車株式会社「日産自動車、バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」を公開」

今後のメタバースの展望、まとめ

このように、いろいろな場所で利用され始めているメタバースですが、今後どこまで成長していくのでしょうか。課題と合わせてみていきましょう。

課題1:技術面

没入感のあるVRを体験をするためには、スマートフォンやPCだけではなくVRゴーグルのようなVR機器を利用するのが一般的です。

しかし現時点では、視覚的技術や情報通信技術が進化したとはえ、VR機器の利用による疲労や、リアルから仮想空間への再現度の低さなどの問題が報告されています。他にも技術面の課題として、仮想空間の製作コスト、1空間あたりの同時接続数の上限、セキュリティ対策など、検討していかなければいけないことがたくさんあります。

メタバースを拡大させるためには、これらの技術面の課題を改善し、一般消費者が使いやすい環境を整えることが必要です。

参考:株式会社インプレス「NTTデータが考えるメタバースの可能性と課題─取り組みと今後の計画を紹介」
参考:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ DATA INSIGHT「メタバースってどうなの?ビジネス活用の期待と課題」
参考:株式会社日本総合研究所「メタバースの概要と動向~ビジネスシーンでの活用に向けて~」

課題2:制度面

2023年1月現在、メタバースが一般消費者の生活に浸透しきっているとは言えません。企業によるメタバースを活用したビジネスもまだ始まったばかりで、法整備が追い付いていないケースがあります。

例えば、所有権はメタバース内のような仮想空間での商取引を想定しておらず、バーチャル上で何か問題が起きた際に、現時点では法律に基づいた所有者の証明などが困難です。

また、参考にできる判例も蓄積されていない状況のため、今後メタバースを活用して新たなビジネスを始めたい場合は、この領域に詳しい法律家に相談しながらおこなうことをおすすめします。

参考:monoAI technology株式会社「メタバースの可能性とは?今後期待されることや課題を解説」
参考:たきざわ法律事務所「【2022】メタバースで注意すべき法律とは?弁護士がわかりやすく解説」

市場規模

三菱総合研究所が2022年11月22日に発表した研究レポート「CX2030:バーチャルテクノロジー活用の場としての広義のメタバース」では、国内市場規模予測をしています。同レポートによると、国内市場予測は2025年には4兆円程度、2030年には約24兆円規模です。

2030年代の経済活動の大半は、まだリアルな環境でおこなわれると予想され、本格的なバーチャルライフ型メタバースの普及には、情報通信・情報処理インフラや端末の性能改善が十分なレベルに至らないだろうとも述べています。

なお、グローバル市場においては「1~2兆ドルのグローバル市場規模が最も妥当」と想定しています。

出典:株式会社三菱総合研究所「2030年代、メタバースの産業利用が社会課題を解決」
出典:株式会社三菱総合研究所「バーチャルテクノロジー活用の場としての広義のメタバース」

まとめ

上記で述べた通り、メタバースは技術や制度の面ではまだ発展途上です。

しかし、専門家による議論も進みはじめており、現状の課題に対して策がとられていくと予想されます。

メタバース利用の浸透には時間を要しそうですが、新しいコミュニケーションの形がうまれることで、企業や個人の活動に大きな影響を与える可能性があります。今後の動向に注目していきましょう。