【ルネサス】RX71Mとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

RX71Mとは、ルネサスエレクトロニクス(以下、「ルネサス」)のマイコンです。RX71Mを始めとするRXファミリは、ルネサスオリジナルのRXコアを搭載しています。この記事では、RXファミリの中でも、産業機器向け高性能リアルタイムエンジンであるRX71Mを紹介します。

RX71Mの仕様

分類 モジュール/機能 説明
CPU 中央演算処理装置
  • 最大動作周波数:240MHz
  • 32ビットRX CPU (RXv2)
  • 最小命令実行時間:1命令1クロック
  • アドレス空間:4Gバイト・リニアアドレス
  • レジスタ
    • 汎用レジスタ:32ビット × 16本
    • 制御レジスタ:32ビット × 10本
    • アキュムレータ:72ビット× 2本
  • 基本命令:75種類
  • 浮動小数点演算命令:11種類
  • DSP機能命令:23種類
  • アドレッシングモード:11種類
  • データ配置
    • 命令:リトルエンディアン
    • データ:リトルエンディアン/ビッグエンディアンを選択可能
  • 32ビット乗算器:32ビット× 32ビット→ 64ビット
  • 除算器:32ビット÷ 32ビット→ 32ビット
  • バレルシフタ:32ビット
FPU
  • 単精度浮動小数点数(32ビット)
  • IEEE754に準拠したデータタイプ、および例外
メモリ コードフラッシュメモリ
  • 容量:2M/2.5M/3M/4Mバイト
  • 120MHz以下の場合はノーウェイトアクセス、120MHzより速い場合は1ウェイトアクセス
  • AFUにヒットしている命令/オペランドは240MHzノーウェイトアクセス可能
  • オンボードプログラミング:4種類
  • オフボードプログラミング(パラレルライタモード)
  • Trusted Memory (TM)機能による、ブロック8, 9に格納したプログラムは命令実行のみ可能、データリード防止機能を実現
データフラッシュメモリ
  • 容量:64Kバイト
  • プログラム/イレーズ回数:100000回
RAM
  • 容量:512Kバイト
  • 0000 0000h~0003 FFFFh (256Kバイト):240MHz ノーウェイトアクセス
    0004 0000h~0007 FFFFh (256Kバイト):120MHz以下の場合はノーウェイトアクセス、120MHzより速い場合は1ウェイトアクセス
  • SED (シングルエラー検出)
ユニークID
  • 12バイト長のデバイス固有のID
ECC付きRAM
(ECCRAM)
  • 容量:32Kバイト
  • 120MHz以下の場合は1ウェイトアクセス、120MHzより速い場合はリード 2ウェイトアクセス、ライト 3ウェイトアクセス
  • SEC-DED (シングルエラー訂正/ダブルエラー検出)
スタンバイRAM
  • 容量:8Kバイト
  • PCLKB同期:60MHz max, 2サイクルアクセス

出典:RX71Mグループ データシート

RX71Mとは

RXファミリの製品ラインアップ

RXファミリは、高い演算性能と優れた低消費電力性能を実現するルネサス社製の32ビットマイクロコントローラです。RXファミリは、ルネサス製マイコンの主力製品シリーズであり、その特徴として、ルネサスオリジナルのRXコアを搭載しています。

RXファミリのマイコンは、主に下記の4つに分類されています。

  • 超低消費電力・エントリシリーズ  :RX100
  • 低消費電力と高性能のベストミックス:RX200
  • 高性能・豊富なラインアップ    :RX600
  • 最高速・高機能RXフラッグシップ  :RX700

RX71Mは、RXファミリの中でも最も高性能なRX700シリーズに属します。

RX71Mとは

RX71Mは、RXファミリの中でも最高速・高機能を備えた、産業機器に最適なマイコンです。ネットワーク上のデータ保護や特定領域のコードの読み出し不可などの機能も搭載しており、IoT化に向けセキュリティ機能を充実させています。

RX71Mの機能

RX71Mの詳しい機能は下記のとおりです。

  • 高性能
  • 高いリアルタイム性能
  • IoT化に向けセキュリティ機能を充実

出典:RX71M

高性能

RX71Mは、最大240MHzで動作可能な32bitマイコンです。

高いリアルタイム性能

RX71Mは、フラッシュメモリ向けに最適化されています。

フラッシュメモリとは

フラッシュメモリとは、記憶装置の1つであり、電源を切っても記憶内容が維持される、不揮発性の半導体メモリ・ROM。本来、ROMは、データの消去や書き込みができないが、フラッシュメモリは、例外的にデータの消去や書き込みができるROM。

フラッシュメモリ(フラッシュROM)とは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

このため、高速なメモリアクセスにより、CPUの性能を引き出します。

IoT化に向けセキュリティ機能を充実

RX71Mは、AES、DES、SHA、RNGを搭載しています。RX71Mは、IoT機器に必要とされるセキュリティ機能を備えています。

AES(読み方:エーイーエス)とは

AESとは、暗号化アルゴリズムである共通鍵暗号方式の一つ。AESは、「高度な暗号化標準」を意味する「Advanced Encryption Standard」の略。2020年現在、アメリカで標準規格として採用されている。

DES(読み方:デス、ディーイーエス)とは

DESとは、暗号化アルゴリズムである共通鍵暗号方式の一つ。DESとは、「データ暗号化標準」を意味する「Data Encryption Standard」の略。データを64ビット単位のブロック暗号に区切って処理する。1977年にアメリカ政府によって標準規格化された。

暗号化アルゴリズムとは?種類・定義・意味をわかりやすく解説

SHA(読み方:シャー)とは

SHAとは、データの改竄や破産の検知に使われるハッシュ関数の一つ。「安全なハッシュアルゴリズム」を意味するSecure Hash Algorithmの略。SSL、SSH等で用いられる。

RNG(読み方:アールエヌジー)とは

RNGとは、Random number generationの略であり、乱数生成器のこと。RNGは、ランダムな数字や記号の羅列を生成する。RNGは、暗号鍵の生成などに用いられる。

RX71Mシリーズの入手方法

RX71Mシリーズのマイコンは、下記のルネサスの特約店・取扱店や、オンラインショップなどで購入できます。

RX71Mの開発環境

RX71Mに対応した代表的な開発環境は、下記の通りです。

  • IAR Embedded Workbench for RX
  • CS+
  • e2studio
  • GUI統合開発環境 GEAL2

RX71M評価ボード

RX71Mの評価ボードは、下記の3つです。

  • Renesas Starter Kit+ for RX71M
  • 株式会社アルファプロジェクト社製 AP_RX71M_0A
  • 株式会社北斗電子社製HSBRX71M100

ルネサス純正評価ボードRenesas Starter Kit+ for RX71M

Renesas Starter Kit+ for RX71Mは、RX71Mの入門用に最適なスターターキットです。CPUボードだけでなく、LCDディスプレイモジュール、オンチップデバッギングエミュレータ、統合開発環境が添付されています。Renesas Starter Kit+ for RX71Mは、「すぐにRX71Mの評価を始めたい」という方におすすめです。

Renesas Starter Kit+ for RX71Mの価格・購入場所

機能豊富な低価格評価ボードのAP_RX71M_0A

AP_RX71M_0Aは、豊富な周辺機能から通信インターフェース(イーサネット、USB2.0 Host/Function、CAN)機能のほか、SDカード、A/D変換器、D/A変換器を実装しています。また、CMOSカメラモジュールやタッチパネルLCDキットと組合せることで、低コストでの画像処理や画像センシングシステムを構築できます。このためAP_RX71M_0Aは、低コストで画像処理、画像センシングシステムを構築したい方におすすめです。

AP_RX71M_0Aの価格・購入場所

低価格評価ボードのHSBRX71M100

HSBRX71M100は、低価格でRX71Mを試せる評価ボードです。HSBRX71M100は、「低価格・簡単に評価したい」という方におすすめです。

HSBRX71M100の価格・購入場所

RX71Mの対応OS

RX71Mに対応している主なOSは、下記の通りです。

  • RI600V4
  • RI600PX
  • ThreadX
  • embOS
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。

μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。

RX71Mと弊社製品μC3/Compactの導入事例

  • 電機メーカー製 遠方監視制御装置
  • 充放電装置メーカー製 充放電システムコントローラ
  • 精密化学メーカー製 理化学用カメラ

など